信号の色が「赤青黄」になったワケ/身のまわりのモノの技術(9)【連載】

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信号の色は「赤青黄」の三色である。海外でも、ほとんどの国がこの三色を信号の色に採用している。では、どうして信号の色は赤青黄なのだろう。

赤は「止まれ」である。血の色でもある赤は、それを見る人間に注意を呼びかける。しかし、物理的にも「止まれ」に赤が採用されているのには理由がある。たとえ霞んでいても、他の色より遠くからはっきりと見えるからだ。

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この赤の性質は、「朝焼け」や「夕焼け」のしくみに通じている。朝焼け・夕焼けが起こるのは、赤の光が大気のちりや水蒸気によって散乱されにくいという性質があるからだ。朝夕、陽光は長く大気を透過して人の目に入る。散乱されやすい他の色は途中で減衰し消えてしまう。そこで、いちばん散乱されにくい赤が朝夕に目立つのである。

次に、「進め」を表すのに青色が利用される理由を考えてみよう。青は目を和ませる色であり、その青が「進め」の色に採用されたことに不思議はない。しかし、やはり物理的にも意味がある。赤と青は識別しやすい色だからである。赤と青が混同しやすかったら、危険きわまりないことになる。

色はその類似関係から色相環という輪に並べられるが、赤と青はほぼ反対に位置している。色相環で離れていればいるほど、色を区別しやすいという性質がある。そのため、赤の反対として青を採用するのは好都合なのである。「注意」を表すのに黄色が採用されている理由も、色相環で説明がつく。色相環で赤や青と離れた色は、黄だからである。遠くからでも赤や青との区別がつきやすいのだ。

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青信号というが、よく見ると緑がかっていることがわかる。実際、1930年に初めて信号機が設置されたとき、法律上では「緑色信号」と呼んでいたという。しかし、色の三原色の「赤・青・黄」と呼ぶ方がわかりやすい。また、「青葉」「青物」などというように、日本人は緑と青の区別をしない。このような理由から、いつのまにか青信号と呼ばれるようになったのだ。

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。
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