「くだらない・茶番だ」とナメてかかっても、得することは何一つない!/発達障害の仕事術

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仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。

発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハックをご紹介。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます。

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前の記事「相手との良好な関係維持には「苦労・努力・能力」に理解を示そう/発達障害の仕事術(31)」はこちら。

 

茶番センサーとは何か?

「くだらない」「要するにこれは茶番だ」。ここまで僕のハックを読んできて、そういう感覚を持った人は多いのではないでしょうか。確かにくだらないですよね。人と人との関係を儀礼に落とし込み、ノウハウとして実行する。いや、本当に茶番だと思います。特に「雑談」とか「挨拶」とか「面子」とかには拒否感が強かったのではないでしょうか。

皆さんは世の中のさまざまな営為を眺めたとき、「これは茶番だ」と看破する能力がとても高いのではないかと想像しますが、いかがでしょう。いろいろなものを見ては「くだらない」「茶番だ」という印象を持ってきたのではないでしょうか。記者会見する政治家、プラカードを持って道に立つ運動家、リクルートスーツを着て就職活動をする学生、ボランティア活動をする人々......。そういうものを眺めたときに胸に湧き出してくるあのシニカルな感情、ありますよね。

僕は、「これは茶番である」と認識するとそこに向かって努力をすることがとても難しくなる性質を持っています。皆さんもそうではないでしょうか。だって、くだらないことをやりたい人ってそんなにいないですよね。この本に書かれていることは、ひとつの例外もなく「やらなくて済めばそれに越したことはないくだらないこと」であるのは間違いないでしょう。

しかし、世の中の大半は「やらなくて済めばそれに越したことはないくだらないこと」で形成されているのもまた、事実だと思います。

こういった世の営為の茶番性とでも言うべきものを読み取り、「くだらない」という結論を下す能力を、僕は「茶番センサー」と呼んでいます

このセンサーがピンと反応すると、全てのモチベーションは失われ、シニカルさやアイロニックな考え方が頭をもたげてきます。所詮この程度のくだらないことだ、という気持ちがないと言ったら嘘になります。僕は基本的に性根の歪んだ皮肉屋です。

しかし、「茶番でありくだらない」ことと「簡単である」ことは全くイコールではありません。

例えば、皆さん今すぐ本気の大声を出せるでしょうか。意外と出せないと思います。だからこそ「声出し」なんていうジョブトレーニングが存在するわけで。人間には無意識のリミッターがかなり強くかかっています。茶番センサーが働いたら、人間はまず動けません。さらに人間は「茶番である」と看破すると、それを大変に「ナメる」心の働きを発生させがちです。やりたくない上にナメてかかったら、何事もうまくいくわけがないですよね。

 

僕が就活で「内定コレクター」になれた理由

僕がこの特質に最も苦労させられたのは「就職活動」です。例えば「面接の練習」とか、あんなの本質的には茶番以外の何者でもありません。他の学生たちが「はい、◯◯大学の△△です。本日は貴重なお話を~」と自己PRするのを聞いているときに胸のうちをスゥッと流れていく冷え切った感情には、とても苦々しい思い出があります。

そういうわけで、僕はしばらく就職活動を拒否していました。半年くらいダラダラした後、「これは茶番センサーを止めるしかない」と観念して面接に行くことにしたのです。その後の僕は、「就活依存症」に陥った内定コレクターと化しました。序盤の出遅れから、結果的に納得できる内定が出たのは夏が終わる頃でした。しかし、最初からこの動きができていれば、さっさと内定を取ってもっと時間を有効に使えたのは間違いありません。茶番をナメ切った結果、茶番に大量の時間を持って行かれたわけです。何ひとつ得をしていない。悲しいお話です。

その一方、生まれつき、茶番に全力を出すのが得意な人というのも存在します。これはいわゆる「空気が読める人」、発達障害者に対する定型発達者である、と言い切ってしまって問題はない気がします。

ADHDやASDを持つ人でこの茶番センサーがない人には、いまだかつて遭遇したことがありません。我々は、「やらない」理由を見出すことに関して熟練の名人であると言っていいでしょう。もちろん、定型発達者にもこの傾向を持った人はたくさんいますが、発達障害者においてこの傾向は優位に高いと思います。もちろん、経験にしか拠らないものですから根拠はありませんが。

 

次の記事「悔しいけど真実! 「くだらないこと」に必死で取り組むヤツは仕事がデキる/発達障害の仕事術(33)」はこちら。

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借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。
色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。


『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』

(借金玉/KADOKAWA)
社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

 

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この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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