発達障害者の症状は凸凹。ひとりひとり「困りごと」が違います/発達障害の仕事術

発達障害者の症状は凸凹。ひとりひとり「困りごと」が違います/発達障害の仕事術 pixta_37601295_S.jpg仕事や人間関係がうまくいかない...「もしかして自分は大人の発達障害なのでは?」と悩む人が増えています。しかし、その解決策を具体的に示した本は少ないのが現状です。

本書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は発達障害の当事者が、試行錯誤と度重なる失敗の末に身につけた「本当に役立つ」ライフハック集。うつでもコミュ障でも、必ず社会で生き延びていける術を教えます!

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前の記事「人生全てがキツイ...発達障害、32歳営業マンの僕について/発達障害の仕事術(1)」はこちら。

 

僕の診断はADHDですが、周囲の発達障害者諸氏に言わせると「おまえはADHDも強いがASDはもっと強い」と言われます。確かに、症状を考えるとADHDの概念だけでは説明のつけられないものが多々あり、僕も「併発しているんだろうな」と思っています。

また、「併発」と言いましたが、最近はADHDとASDは不可分の障害で、それぞれの症状を両方とも有するのがむしろ普通という考え方もあるようです。「スペクトラム」の障害ということですね。

僕自身も、「感覚過敏」や「自己ルールへの強烈なこだわり」などASDの症状は極めて強く、例えば「皮膚感覚が過敏すぎてマフラーが巻けない」など明らかにASDの特性を持っています。音にも光にも弱いです。「信じられない過敏さと悪い冗談みたいな鈍感さが同居する」というのは発達障害のある友人の言葉ですが、正しく発達障害者のひとつの特性を言い表していると思います。

お医者さんに言わせると「大体みんな混ざっている」とのことです。僕自身の周囲にいる人間を見渡してみても、「純粋なADHD」、あるいは「純粋なASD」という人は見当たりません。発達障害者の大半は、ADHD的症状とASD的症状が混在しています。例えば、ものすごい多動(じっとしていることができない)があるのに、時間にうるさく、机の上は完璧に整頓されていないと気が済まないという人もいます。僕自身は、「整理整頓を保つ能力はないが、散らかっている部屋はとても強いストレスになる」という人です。これは本当に最悪だと思いますが、実際そうなのです。

ASDは言葉が苦手、表現が苦手と言いますが、僕は言語表現が得意ですし、実際文章の得意なASD、喋りの得意なASDというのも結構います。正直、僕は最近「障害の診断に大した意味はない」と考えるようになりました。

発達障害者の厄介な点は、「一人一人症状や困りごとが違う」ということです。得意なこと、苦手なことがそれぞれ全く違うのです。「発達」の「障害」、すなわち「発達の凹凸が大きい人」なのだと思います。

だから、「私は発達障害者です」と言われて「フォローしてあげたい」と思った人がいたとしても、どんなフォローをしてあげればいいのかはなかなかわからないという辛い現実があります。一人一人、発達の凹凸は別物ですから、必要なフォローも別物になってしまうのです。これが発達障害の難しいところです。

僕はツイッターで発達障害の話をしているうちに2万5000人を超えるフォロワーができて、多くの人と発達障害の話をする機会を得ました。また、この本を書くに当たって数十人の発達障害者にヒアリングを行いました。

その中には、弁護士や企業役員といった成功者から、生活保護を受給して暮らす人、長い入院生活を送っている人などさまざまなバリエーションがありました。そうした知見と自分自身の経験を踏まえて、「この辺は困ってる人が多い」という問題に対するライフハック(ささやかな人生の工夫みたいなものでしょうか)を書き連ねたのがこの本になります。

この本の中心テーマは「生存」、すなわち「生きていればとりあえずOK。生き抜こう」です。社会適応のための努力ができるような状態ではない人もたくさんいますし、無理は禁物です。「社会に適応するためにこの本を読んで努力しろ!」というような内容の本ではありません。「あなたが少しでも楽に生きる役に立てば嬉しい」という気持ちで書かれています。

そういうわけで、本編に入る前にこの「借金玉」と名乗るよくわからないおっさんがどのように人生を転げてきたのかについて、まずは語らせていただきます。

 

次の記事「超ホワイト職場の業務に歯が立たない...最初の職場からの敗走/発達障害の仕事術(3)」はこちら。

借金玉(しゃっきんだま)

1985年生まれ。診断はADHD(注意欠陥多動性障害)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。
色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角度で落ちる大失敗。その後は1年かけて「うつの底」から這い出し、現在は営業マンとして働く。

発達障害者の症状は凸凹。ひとりひとり「困りごと」が違います/発達障害の仕事術 otoko.jpg
『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』
(借金玉/KADOKAWA)
社会生活がうまくいかず苦しむ「大人の発達障害者」が増えていると言われる現代日本。発達障害によって30歳を前に人生をほぼ破たんさせかけた著者が、試行錯誤で編み出した「発達障害者のため」の今日から使えるライフハックを多数紹介! 仕事や人間関係がうまくいかない全ての人のための「日本一意識が低い」自己啓発書です。

 
この記事は書籍『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』からの抜粋です
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