88歳で活躍中の若宮正子さんが語る「打席に立たなきゃ、どんな球だって当たらない」

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ITエヴァンジェリスト(伝道者)で「世界最高齢プログラマー」と称される若宮正子さん。

88歳の今もなお、岸田首相主催のデジタル田園都市国家構想実現会議構成員として活躍し、精力的に活動しています。好奇心旺盛に日々を過ごす若宮さん初めての著書『昨日までと違う自分になる』(KADOKAWA)より、一部抜粋してご紹介します。

【前回】自由に行ったり来たりできる新時代のライフシフト

「勇気と決断」が、どうして必要なの?

新型コロナウイルス感染症のパンデミックのおかげでいろんなことを教えてもらったかもしれないですね。
いつも年末になるとメディアでは来年の経済見通しなんかをやっていましたが、立派な学者さんも2019年末に、こんなことになるとは誰も予想していませんでした。
今の世の中、不確定要素に満ち満ちています。雨が降れば土砂降り、ヨーロッパは熱波で干上がるなどの異常気象、とにかく地球上でみんな振り回されていますよね。そしてウクライナ侵攻はまだ続いています。

明日何が起こるかわからないというのが本音です。これからは毎日がどうなるかということを日々更新していかなければならないんです。
 
日本人は臆病な人が多いですね。特に若い人や女性がそうみたいで。昔は兄弟姉妹がたくさんいて、うちなんか5人きょうだいで3人が生き残った。昔は幼児死亡率が高かったから、それでもまだいいほうで、死んじゃう子供もたくさんいました。
でも、今はたいてい一人っ子で、大事に慎重に育てていますよね。そんなふうに育てられているからみんな臆病に生きておられるようですね。
 
私も「81歳にもなってよくプログラミングをやろうと思いましたね」とか言われますけど、プログラミングはパソコン一台あればできますし、無料のソフトだってあるんです。
くさやの干物を焼いているわけではないので隣近所にも迷惑になりません。なのに、なんで「勇気と決断」が必要なの? 
うまくいかなかったらいつでもやめられるのに、やる前からどうしてそんなに臆病になるのかな。
 
野球だってせいぜい2割5分打てば上々でしょう。とにかく打席に立てばいいのではと思うのです。
打席に立たなきゃ、どんな球だって当たらないんですからね。

 

若宮正子(わかみや・まさこ)
1935年東京生まれ。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行に入社。58歳頃に好奇心でパソコンを買う。エクセルと手芸を融合した「エクセルアート」創始者。2016年にはアプリの開発を始め、17年に米国アップルによる世界開発者会議「WWDC 2017」に特別招待される。デジタルクリエーター、ICTエバンジェリストとして世界的に活躍中。シニア向けサイト一般社団法人「メロウ倶楽部」理事。NPO法人ブロードバンドスクール協会理事。熱中小学校教諭。岸田首相主催「デジタル田園都市国家構想実現会議」構成員。ハンドルネームは「マーチャン」。

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『昨日までと違う自分になる』

若宮正子/KADOKAWA

人生を幼少期から紐解き、「うまくいかなくてもいいから、やりたいことをやってみる」、「老人だって、昨日できなかったことが今日できるようになる」と思うようになった、楽しんで生きるヒントが綴られた一冊。

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