ICTエバンジェリスト(伝道者)で「世界最高齢プログラマー」と称される若宮正子さん。
88歳の今もなお、毎月の半分以上は全国へ講演会に出かけ、そのスケジュール管理から切符の手配までワンオペでこなしています。世界中の人とインターネットを通じて意見交換しながら好奇心旺盛に日々を過ごす若宮さん初めての人生読本『昨日までと違う自分になる』(KADOKAWA)より、一部抜粋してご紹介します。
たった1通のメールで世界中の注目の的に!
81歳でゲームアプリ「hinadan」を作ったら、「世界最高齢の開発者」としてその年の米国アップル社の世界開発者会議「WWDC 2017」に特別招待されました。
アップルから突然メールが送られてきたら、びっくりしますよね。私、騙されてるんじゃないかしら、これはスパムメールかもしれないなんて思いながら、もう最悪パソコンが壊れてもいいや、と思ってメールを開いてみたんです。
そこには招待するから一緒にアメリカへ行きましょうと書いてあったんですけど、ちょうど旅行の予定が入っていたから最初はお断りしたんですね。
それに、理由がわからなかったのです。あんたの作ったアプリは幼稚だから審査は却下するとか何とか、そんな話かと思ったら、先方でどうしても会いたいと言っておられる方がいると言われて、どなたかと伺ったらCEOのティム・クックさん。
一番偉い人にそこまでおっしゃられたらもう行くしかないと思って、予定を変更してアメリカに行きました。
二人きりでお会いする機会があったのですが、偉い人ですからご挨拶したらすぐにお別れするものと思っていたのに、ゆっくりお話しできたんですね。
クックさんからはなぜゲームアプリを作ったのかと聞かれましたので、高齢者が楽しめるアプリがなかったから、誰も作ってくれないなら仕方ないから自分で作ろうと思ったことや、スワイプとかスライドのように画面をなぞる操作は、指先が乾燥している高齢者には難しいのだという操作画面のことまでお話ししました。