88歳で活躍する若宮正子さん「自由に行ったり来たりできる新時代のライフシフト」

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ICTエバンジェリスト(伝道者)で「世界最高齢プログラマー」と称される若宮正子さん。

88歳の今もなお、毎月の半分以上は全国へ講演会に出かけ、そのスケジュール管理から切符の手配までワンオペでこなしています。世界中の人とインターネットを通じて意見交換しながら好奇心旺盛に日々を過ごす若宮さん初めての人生読本『昨日までと違う自分になる』(KADOKAWA)より、一部抜粋してご紹介します。

【前回】正しく知って正しく怖がる

自由に行ったり来たりできる新時代のライフシフト

高校を卒業して、すぐ次の年から大学に行って、大学からストレートに就職する。それが日本の当たり前。途中でちょっと休学して遊んでくるとか、仕事を一時中断して勉強するとか、何かを止める、休んでいる期間があるということは、日本ではとても恐ろしいことですよね。海外ではそれが当たり前であって、ドロップアウトでも何でもないのです。いわゆる新卒で正社員になることが人生号の指定席の切符を手に入れたかのように思うのがおかしいのです。

最近ですが、エストニアの首都にある大学の卒業式を見学する機会がありました。びっくりしたのは、卒業生が男も女もみんなおじさん、おばさんなんですね。普通に子連れで卒業式に出席されているのです。

これはエストニアに限る話でもなくて、イギリスのオックスフォード大学の医学部に、日本の方で17歳だか18歳で入った優秀な人がいらしたんです。ところが「今から医学部の勉強をしたってあなたはまともな医者になれないよ、1年休学してアフリカなどの無医村に行って、看護師さんの助手でも何でもいいから、現場で患者さんというものを見てきなさい」と言われたそうです。
そこからやらないと立派な医者になれないということらしい。
発想が違うんですよね。
 
こういう話を聞くと、日本も今までと変わらずにやっていたら海外との交流すらなくなっちゃうんじゃないかと思うんですよね。
これからはそういう経験値を積んだ人たちのほうがいいお医者さんだと思われる世の中になるかもわからない。とにかく単線運転みたいな、一本道の日本の教育の進め方はこれからすごく変わっていくと思います。

 

若宮正子(わかみや・まさこ)
1935年東京生まれ。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行に入社。58歳頃に好奇心でパソコンを買う。エクセルと手芸を融合した「エクセルアート」創始者。2016年にはアプリの開発を始め、17年に米国アップルによる世界開発者会議「WWDC 2017」に特別招待される。デジタルクリエーター、ICTエバンジェリストとして世界的に活躍中。シニア向けサイト一般社団法人「メロウ倶楽部」理事。NPO法人ブロードバンドスクール協会理事。熱中小学校教諭。岸田首相主催「デジタル田園都市国家構想実現会議」構成員。ハンドルネームは「マーチャン」。

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『昨日までと違う自分になる』

若宮正子/KADOKAWA

人生を幼少期から紐解き、「うまくいかなくてもいいから、やりたいことをやってみる」、「老人だって、昨日できなかったことが今日できるようになる」と思うようになった、楽しんで生きるヒントが綴られた一冊。

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