深く潜む男のジェラシー。子連れの女性と結婚する男性に賛辞を!/大人の男と女のつきあい方

pixta_32740911_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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男の器量がわかる子連れ女性との結婚

子連れの女性と結婚する男性がいる。同じ男性として考えた場合、私はそうした選択をした男性をかけ値なしに偉いと思う。中高年の独身者、離婚経験者、あるいは奥さんを亡くした男性なら、そうした選択も大いにあると思う。

「よりによって、子持ちの女性と......」
そんな外野の声を尻目に、適齢期の男性が年上の子連れ女性と結婚する話を、最近よく耳にする。芸能界でも、よく知られた何人かの男性芸能人がそういう結婚を選択しているが、円満な家庭生活を送っているようだ。
一般的にいって、男は女性の過去の恋愛経験について、無関心ではいられない。
「いや、オレは彼女が昔、誰とつきあっていたかなんて関係ないね」と、傍目には豪放磊落(らいらく)を演じていても、内面では結構、気にしているものだ。

だが、ひとかどの男なら、そんな思いをしつかりと封印しておクビにも出さずにいるものだ。そうやって、自分のなかに潜む女性の過去へのわだかまりを克服する。一方、そのわだかまりを断ち切れない男は、女性の過去をほじくりたがり、それとなく女性に告白を迫ったりする。そして、それがもとで関係にひびが入ったりもするのだ。

「女の過去をとやかくいう前に、だったら、アンタの過去はどうなんだ!」

私は世に蔓延(まんえん)する男女平等論に対しては、異議ありの立場にいるが、この件に関してはそういいたい。自分は過去にいろいろな女性とよろしくやっておいて、いざ、自分が結婚するとなると、相手にだけ自供を求めるのはみっともない。
「あなたがはじめてよ」とでもいわせたいのだろうか。

そんな男が多いなかで、子連れの女性と結婚する男性は肝っ玉が据わっている。やはり、男にとって愛した女性の「男性体験」と「出産体験」では意味が違うと思う。子連れとなれば、結婚生活もスタートから違う。それを承知で結婚するには、男の度量の大きさが求められる。女性の過去を「丸ごと」受け入れてしまうのだから、それだけで賞賛に値する。

「彼がそんなに苦しんでいたとは知らなかった。何か、私、悪いことをしちゃったみたいで......」

そう語った、私が親しくしている通信販売会社の女性社長の話を紹介しよう。彼女は七歳年下の男性と八年前に再婚した。前の夫とは五年の結婚生活を送った。いまのご主人との二度目の結婚生活は、前夫との間に生まれた二歳の女の子を連れてのものだった。その女の子もあっという間に彼になつき、彼もまた、その後二人の間に生まれた女の子と分け隔てなくかわいがった。目立ったトラブルもなく、幸せな結婚生活を送っていたのだが、結婚後五年を過ぎた頃、満ち足りたような静かな笑みを浮かべながら、ご主人がこういったのだという。

「やっと、前のダンナさんを超えられたかな」
結婚以来、一度も前夫について尋ねたことのなかった彼。その彼の突然の言葉に当惑した彼女だったが、すぐにその意味を理解した。
「思わず涙が流れてきて彼の胸に飛び込んじゃいました。ああ、私は本当にいい人とめぐり合ったんだ。死ぬまで一生、この人についていこうと思いました」

順番でいえば二番目ではあるが、彼は彼女にとっての「一番の男」になろうとがんばってきたのだろう。前夫との五年という歳月が、彼にとっては意味のあるエポックだったのかもしれない。

ジェラシーというと、とかく女性の専売特許のように思われがちだが、ときと場合によっては男のジェラシーのほうが始末に負えない。多くの女性のように瞬間的に爆発させたりはしないが、そのぶん、深く静かに、執念深く潜んでいることがある。

彼の「雌伏(しふく)の五年」をジェラシーというつもりはない。そんな経験のない私だが、ないなりに想像すれば、どうしようもない不条理を感じたに違いない。見も知らない男といまの女との間にできた子どもである。「いったい、どんな男だったのか?」など、心のなかは平静でいられるはずがないだろう。

彼女を深く愛すれば愛するほど、彼女の結婚前に、どうしてもっと早く出会わなかったのだろうと考えてしまうジレンマもあっただろう。それが男の本音の一面なのだ。

「見上げたものだ」
男の身勝手な処女信仰など、とうの昔に消え去ったとはいえ、女性の過去にこだわる男は少なくない。そういうなかで、子連れ女性と結婚して幸せな家庭を築いている男性に、私は賛辞を送りたい。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です
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