相手に高年収を望むなら、自分も稼ぐ努力をすべき?/大人の男と女のつきあい方

pixta_26037235_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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「高年収を望むなら、自分も稼ぐ努力をすべき」

少子化問題が至るところで語られる昨今だが、ちょっと気になるデータを見つけた。国立社会保障・人口問題研究所が行なった『第一三回出生動向基本調査―――結婚と出産に関する全国調究』のなかのデータである。

この調査は50歳未満の夫婦を対象に行ない、妻からの回答をまとめたものだ。集計した数字は2005年現在のものだが、それによると「生涯を独身で過ごすというのは、望ましい生き方ではない」という問いに対して「まったく賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した「結婚賛成派」が合わせて52.2%となっている。

この調査は五年に一回行なわれていて、1992年、1997年、2002年と結婚賛成派の数は減少しつづけてきたのだが、今回の調査ではじめて増加に転じたのである。

「結婚はとても幸せよ。女なら結婚するにかぎるわ」
妻が調査対象なのだから、結婚で幸せを満喫する妻たちのポジテイブな声の反映だと思いたいが、どうもそうではないようだ。

構造的な経済の停滞、雇用の減少などによって、女性の自立のための環境が悪化したことの表れと見る向きが多いようだ。要は「結婚が最高というわけじゃないけれど、苦労して一人でがんばるより、一応、結婚して所属先をキープしておいたほうがいい。何かと楽よ」という既婚女性のサジェスチョンに思えなくもない。言葉を換えていえば、「結婚でも、結婚しか」という消去法で浮かび上がってきた答えなのだ。

また「結婚後は、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という問いに対しても、同様に「まったく賛成」「どちらかといえば賛成」という「専業主婦賛成派」が28.7%と、過去の調査の減少傾向から増加傾向に転じている。

ひと昔前なら「男子何するものぞ」とばかりに、自立する生き方を模索する女性が年々増加していた。誤解を恐れずに、かりにそうした女性を「進歩的」と呼ぶとするなら、ここにきて「守旧的」女性が増えてきたということがいえそうだ。

私自身は拙書でも何度か述べているように、夫は外で一生懸命に仕事をしてお金を稼ぎ、妻は子どもを育て家庭を守るのがいいという意見の持ち主で、そうやって生きてきた。その考え方からいえば、調査のデータに表れた女性の意識の変化を歓迎してもいいのかもしれないが、素直に「うん」とはいえない。私が青年期、壮年期を生きた時代と現代では、社会背景が著しく異なっているからだ。私の時代は戦後の高度経済成長の真っただなかである。労働者の権利がいまほど確立していたわけではない。右肩上がりの経済に比例するように仕事の量は日々増加。月100時間以上の時間外労働など日常茶飯事。経営者も労働者もそれを当たり前のように思っていた時代だ。

まして、私の生業(なりわい)は新聞記者。九時から五時で仕事はおしまい、というわけにはいかない。私が多少、手伝ったとしても、妻が仕事をしながら、出産や育児、そして家事をこなすことは無理だった。託児所、保育園などもなかなか見つからない時代である。
ならば、完全分業しかない。古い言い方だが、夫は外で稼ぐ戦士、妻は銃後の守り、そう決めていた。炊事、洗濯、子どもの世話など、やれといわれてもできる時間がなかったのも事実だ。

だが、いまは違う。
戦士である夫の稼ぎは右肩上がりというわけにはいかない。生活のスタイルもまったく違う。夫一人の稼ぎで豊かな暮らしを実現するのは、なかなか容易ではない。もちろん、妻の稼ぎを当てにしないという夫の気概は大切だが、気概だけでは生きてはいけない。こんな世の中はしばらく続くだろう。ならば、分業主義であった私がいうのもおかしいかもしれないが、結婚したら女性は即専業主婦に、という選択が必ずしもいいとはいえないだろう。

いや、それより、結婚しても女性は自立のためにも働け、と主張するのは漫画家の西原理恵子さんだ。彼女は貧困の町、貧困の生活のなかで育ってきただけあって、その主張にはリアリティーがある。
結婚して子どもができたあとでも、夫に頼っていてはいけない。夫の会社が倒産しないともかぎらないし、夫が病気になるかもしれない。仲むつまじい時期はいつまでも続かないから、夫とうまくつきあうためにも自立が必要だという。

「夫に年収500万円を望むなら、まず自分が500万円稼ぐ努力をすべき。育児を負担してほしいなら、仕事も平等にやらなければいけない」と、人のお金を当てにしてはならないと戒める(「日本経済新聞」夕刊2009年8月12日付。)女性も自立してこそ平等という論は、たしかにそのとおりだ。女性がそのことを自覚して、現実にもそうなっていけば、はじめて男女平等の結婚生活が実現していくといえるだろう。

だが、それでは、夫は仕事で疲れて帰ってきても、炊事、洗濯、掃除、はては子どもの世話までしなくてはならなくなる。女性の収入が少ない、いまの状態の共稼ぎでは「結婚してもわりが合わない」という若い男性の声が聞こえてくるのも無理のないところ。そうなると男女とも、ますます「おひとりさま」が増えていくことになる。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です

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