恋愛に定年なし!「色ボケ爺」こそ最大級の褒め言葉である/大人の男と女のつきあい方

pixta_22091393_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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「色ボケ爺」は最大級の褒め言葉である

私の知り合いの一人に、ロンという男がいる。アイルランドに住むスポーツジャーナリストで、たびたびメールで連絡をとり合っている。彼は取材のたびに写真を送ってきてくれる。クリケット、サッカー、ゴルフ、競馬。ジャンルを問わず、さまざまな写真が届くので退屈しない。もうじき古希を迎えるというのに、元気なものである。

なかなか気のいい男で話し好き。おまけに日本贔屓。取材で持ち歩いているカメラはキャノン、パソコンはソニーのバイオ。聞けば自宅の家電製品も、ほとんどが日本製のものだ。
彼には妻と子どもが二人。そして孫が二人いるのだが、その孫娘は、スズキのモトクロスチームに所属しているのだという。

ロンのメールには、―つの特徴がある。彼は取材で訪れた場所の気に入った風景を写真に収めて送ってくれるのだが、そのとき必ず、取材先で知り合った女性と一緒に撮った写真が添付されてくるのだ。
「彼女は〇〇。香港で知り合ったガールフレンドだ」
「レセプションで親しくなった新しいガールフレンドだ。とってもキュートだろう」
そんなひと言が添えられて送られてくる。その数が、あまりにも多いので、私などはいらぬ心配をしてしまうことがある。

「写真がワイフに見つかったら、どうやって言い訳をするんだ」
写真はすべて、デジタルカメラで撮影され、データは彼のパソコンのなかに保存されているのだろう。ふつうの家庭なら、そんな写真が一枚でも見つかれば修羅場と化すことは間違いない。

「ノープロブレム。何も問題はないよ」彼はあっけらかんとして答えるのだ。
「彼女はこれが、私の若返りの秘訣であることを理解しているからね。彼女もまた、自分の趣味であるダンスやカルチャースクールで新しい出会いをしている。それで彼女が生き生きと毎日を過ごすことができるのなら、それでいいんだ。大事なのはお互いを信頼し合っていること。そして家族を傷つけないこと。それだけを守っていれば、われわれの関係は何も変わらない。それに、私はガールフレンドと深い仲になりたいなどとは考えていないからね。その瞬間、話をしている五分だけ新しい恋をしている。そう考えるだけで人生はずいぶんと愉しいものになるんだ」

実にいい生き方であり、そして、いい夫婦関係だと思った。
日本人というのは、高齢の男が若い女性と話をしていると、それがまるで犯罪行為であるかのような見方をする。
「孫と同じくらいの娘と何をやっているんだ。この色ボケ爺(じじい)め」
「恥ずかしくないのか」

もし私が「色ボケ爺」などといわれようものならば、それは最大の褒め言葉ととらえるだろう。それのどこが悪いのか。むしろ、そういう発想でしか見ることのできない自分が不幸な存在であることに気づくべきである。

他人に抱いた偏見というのは、すぐに自制となって、自分の元へと回帰する。それが大人の考えだと、自分に思い込ませてしまう。愚かなことに「恥」という思いが生まれてくるのだ。結果、新しい出会いとは縁遠くなり、チャンスすらなくなる。機会がなくなると今度は、自分に自信が持てなくなってしまい、出会いを望むことすらしなくなる。実にもったいない話である。

私もロンと同じで、いまなお、自分の生活のスパイスとなる刺激的な出会いを求めている。もちろんロリコンの趣味はないので、成人限定ではあるが、どうせなら少しでも若い女性と知り合いたいと思っている。それが男として、本来、誰もが持っている姿ではないだろうか。
何も構える必要はない。簡単な挨拶から始めてもいいし、道順を聞くだけでもいい。大事なのはまず、異性と話すことに慣れることである。そんなインスタントな関係を繰り返していくと、知らず知らずのうちに、それが大きな自信となって実を結ぶ。

「恋愛に年齢はない。それはいつでも生まれる」
39歳という若さで死んだ天才科学者、ブレーズ・パスカルの有名な言葉だ。そしてこの言葉は、ことあるごとにロンが口にする座右の銘でもある。実に素晴らしい言葉ではないか。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です
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