これから増えていく? 男に「安らぎ」を求めない女性たち/大人の男と女のつきあい方

pixta_23679730_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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「私自身、安らぎなんていらない」

「幸福な結婚においては、恋愛の上にいつか美しい友情が接木(つぎき)される。この友情は心と肉体と頭脳に同時に結びついているだけに、いっそう堅固なのである」
フランスの作家アンドレ・モロアの言葉である。

「恋愛の上にいつしか友情が接木される」ような夫婦関係ならばいいが、誰でもそんな夫婦になれるわけではない。「あきらめ」惰性」退屈」無視」が接木される夫婦も少なくない。

もっと恐ろしいのは「殺意」である。もう少しで、お互いに天寿を全(まっと)うするという高齢の夫婦が刃傷沙汰(ざた)を起こす。そんなニュースが後を絶たない。正直、そうなる前になぜ離婚しなかったのだろうかと思ってしまう。

殺すほど憎い相手と暮らすなら、離婚して一人で生きたほうがいいと思う。だが、カーッときて、殺傷沙汰になってしまったのだろう。

もともと、結婚それ自体は義務でもないし、いまの世の中、生涯独身でいてもそれほど奇異な目で見られることもなくなった。仕事もある、お金もある、趣味も充実している、子どもも欲しくない、自由な一人暮らしのほうがいい。そんな選択肢もいまは「あり」だ。

 

半年ほど前、講演で訪れた九州で知り合った女性もそんな一人だ。テレビ番組の制作会社に勤めている女性で、九州の高校から東京の大学に進み、在学中、芸能プロダクションにスカウトされた。芸能プロダクションといっても、歌手や役者としてではなくレポーターとして活動していたという。

講演後の打ち上げの席で主催者から紹介されたのだが、話し上手で会話が弾んだ。年齢は39歳。さすがに九州の女性でお酒も強く、芋焼酎のお湯割りをどんどんお代わりする。おまけに美人である。表情や物腰にも、どこか恋の修羅場をくぐり抜けてきたと思わせるような雰囲気を標わせていた。

もちろん初対面だったが、話が盛り上がり、私が宿泊するホテルのバーで飲み直そうと彼女が提案してきた。
「遅いから、もうお開きにしたほうがいいんじゃないですか」
美人で頭がよくて、愉しい女性だ。こちらはホテルに戻って眠るだけ。内心、もう少し話したい気持ちはあったが、そこは大人の男の余裕。そう水を向けた。

「よかよか、私は独り者ですけん!」
多少の酔いと心地よさが手伝ったのか、博多弁で私の言葉を遮った。
私がよそ者であることの気安さが、そうさせたのだろうが、そのホテルのバーで聞いた彼女の話は、かなり衝撃的だった。

19歳で上京後、すぐに恋人ができた。同じ大学の先輩である。彼のことは好きだったが、ほどなく50代半ばのプロダクション社長とのつきあいが始まる。もちろん不倫。
「二人の男との関係でしたが、二人とも好きでしたよ」
恋人と愛人の二股生活である。その後、恋人とは別れ、社長との関係も会社の倒産を機に解消。それも束の間、すぐに別の男性とのつきあいが始まった。

「何人目か忘れた」恋人とは、二年の同棲生活を送った。そんなとき彼にプロポーズされて、心は動いたが、結局は断った。
「私は、結婚には向いてませんけん......」

その理由を尋ねてみた。自分はセックスが大好きである、男を好きになってもすぐに飽きる、一人の男性では満足できない、子どもも欲しくない、仕事も一生続けたい、気ままがいちばんそれが理由である。

「私自身、安らぎが欲しいなんて思わない、慰めてほしいとも思わない。自分のことは自分でやる。男に依存するのが嫌いなんでしょうかね。自分のメンタリティーは男に近い。欲しいのはいいセックスのできる男の体と少しの知性と相性のよさだけ」

単純明快。「その代わり、年をとってから寂しいとかわびしいと感じても、泣き言はいわない」覚悟はできているつもりだそうである。いまは、20歳年下の大学生とつきあっているのだとか。

「若くて元気な肉体がいちばん!」
別れしな、そういって彼女は家路に就いたが、とにかく退屈しない夜だった。おそらく、こういう女性はこれからますます増えていくだろう。社会が複雑になり、人間の価値観がさらに多様化し、個人主義志向がより顕著になれば、結婚という枠を望まない人間が増えてくるのは当然だ。彼女もまたそんな一人なのだろう。

燃えるような恋をして結婚し、年を追うごとに友情のような心が芽生える結婚生活もいい。だが、彼女のように、つねに官能的な世界を求める人間もいる。結婚がすべてではないのだ。

「恋愛はポタージュのようなもの。はじめの数口は熱すぎ、最後の数口は冷めすぎている」
フランスの名女優ジャンヌ・モローの言菓である。熱いポタージュだけしか口にしない人間が否定される理由はどこにもない。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です
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