男と女のいさかいの原因の多くは「脳」の違いから発している/大人の男と女のつきあい方

男と女のいさかいの原因の多くは「脳」の違いから発している/大人の男と女のつきあい方 pixta_19796194_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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男脳と女脳の違いを知っておけ

私は夕食のあとに、小さなビンのドリンク剤をいつも飲んでいる。帰宅途中の薬局で六本ずつまとめ買いをして、家の冷蔵庫に保存している。
ある日、いつものようにそのドリンクを飲もうと冷蔵庫を開けた。あと一本は残っているはずである。だが、いくら探しても見つからない。これまでに、妻が飲んだことはないはずだ。

「あれ、たしか一本あったはずなんだが......」妻に尋ねてみた。
「あったでしょう。わからないの?」
妻は「またか」という顔をして冷蔵庫に近づき、あっという間に探し出した。私にしてみると、魔法のような早業である。不思議でしかたがない。冷蔵庫のなかをくまなく探したはずなのだ。あきれたような顔つきで妻がいった。

「冷蔵庫のいちばん上の真ん前にあるじゃない」
このことを、私と妻の性格の違いだくらいに思っていたのだが、黒川伊保子さんの『恋愛脳男心と女心は、なぜこうもすれ違うのか(新潮社刊)を読んで合点がいった。黒川さんはドリンク剤とバターの違いこそあれ、まったく同じケースを例にとって解説しているのだ。

黒川さんによれば、脳は男性と女性では一個所だけ大きな違いがあるという。それは、脳梁という右脳と左脳を結ぶ場所が、男性より女性のほうが太いのだそうである。身休の大きさがそうであるように、頭蓋(ずがい)骨、脳の体積、脳神経細胞などは相対的に男性が大きい。しかし、脳梁だけは違う。

「〈中略〉脳梁だけが、何かに逆らうように、男の方が細いのである。脳の真ん中のほんの些細(ささい)なパラドックス(逆説)実は、この世の男と女に起こる、すべてのすれ違い、すべての喜劇と悲劇は、このパラドックスによるものなのである。男と女は、まったく違う世界を見ているのだ」

この脳の構造の違いによって、女性脳は冷蔵庫のなかのものを探し、あっという間に見つけ出す。男性脳は同じ冷蔵庫のなかを見ても、ほかのビンのラベルを見たり、容器の角を見たり、いくつもの点を観測して立体的な空間で見る。そのいくつかの点を結んで三次元空間のなかで探しものをする。たまたま、その観察地点の視野に目指す対象が入っていれば問題はないのだが、そうでないと見つけられない。

私の例でいえば、ドリンク剤を探し出すだけでいいのに「おや、オレの好きな明太子がある」「帝国ホテルのいちごジャムがある」「缶ビールがない」などと、余分な情報をインプットしてしまう。ドリンク剤を探す前に、やることが多すぎるのが男脳のようだ。

「面倒くさがりの私、私より辛抱強いマメな妻」と軽く考えていたのは、実は間違いだった。太古の昔から、男と女は脳のつくりが異なっているのである。

この男性脳と女性脳の違いを左右する脳梁の太さだが、黒川さんによれば、ホモ・セクシャルの男性のなかには、かなりの高率で女性と同じ脳梁の太さを持つ人がいるという。最初は母親の胎内で同じ脳であった男児と女児が、妊娠期間の後期に母胎から出される男性ホルモンを浴びて男児の脳梁だけが細くなるが、母親のストレスなど、さまざまな原因で脳梁の太いままの男児が生まれてくるのだという。

こう考えてみると、男と女のいさかいの原因の多くが、男性脳と女性脳の違いで生まれているようにも思えてくる。


ごくごく些細なことをきっかけに親しい男女間でひと悶着(もんちゃく)起こることがある。
親しい間柄なのだから「話せばわかる」とばかりに一生懸命説明しても、かえって泥沼にはまっていく。これは男女を問わず誰でも経験しているはずだ。

そんなとき、男女の脳の違いを知っていれば、大事に至らない対応のしかたも見つけられるだろう。違う脳を持った二人が議論しているのだから、行き違いがないように「翻訳」が必要なのだ。

冷蔵庫で探しものを見つけてもらったら、男性は「よくわかったね」と、ただただ尊敬の気持ちを持って礼をいうだけでいい。間違っても「つくだ煮の賞味期限、切れてるよ」などと余計なことはいわない。そういう余分なことを口にするから喧嘩のきっかけにもなる。一方、女性のほうも「どこ、見てんのよ」などと詰らないことだ。

「すべては脳梁の違いが悪い」
そう考えていれば、腹も立たないだろう。

「親しき仲にも男女の違いあり」と考えていたほうが、ムダな争いは避けられる。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

 
この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です

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