ひどい痛みで指が曲がらない、関節が太くなった、指の形がおかしい...。それらの症状、もしかしたら「へバーデン結節」かもしれません。患者数350万人以上とも言われる「へバーデン結節」ですが、原因自体はまだ解明されておらず、手指の痛みをそのままにしてしまっている人も少なくないそう。そこで今回は、麻酔科医・富永喜代先生による著書『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』を紹介。具体的な症状や対処方法、自分でできる痛みをやわらげる治療メソッドなど解説していきます。
※本記事は富永喜代著の書籍『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』から一部抜粋・編集しました。
【最初から読む】ひどい手指の痛み...もしかして「ヘバーデン結節」かも? 痛みを和らげる方法をチェック
100円ショップのアイデアグッズを上手に活用してみませんか
へバーデン結節では、痛みや変形によって手指を思うように動かすことができず、家事はもちろん、生活のさまざまな局面で支障をきたすことが多いものです。
病状が進行すると、つまんだり、握ったりする動作をするのが非常につらくなってきます。
ペットボトルの蓋が開けられない、瓶の蓋を開けようとしても力が入らない、シャンプーするときに指をうまく動かせないなどの悩みは、患者さんからよく聞きます。
しかしこれまでできて当然だったことができなくなってしまった自分を責めてはいけません。
物に大いに頼って、できる方法を探していくことで、気持ちが楽になり、生活の質もアップします。
そこでおすすめしたいのが、100円ショップに売っているアイデアグッズを活用することです。
先に挙げた悩みは、ボトルオープナーやシャンプーブラシで解消することができます。
価格が税抜き100円というのも試しやすくていいですね。
このほか、例えば単語帳をまとめるのに使う「カードリング」をバッグや財布のファスナーのつまみにつけると、開け閉めが楽になります。
また鉛筆に巻きつけて使う「うずまきグリップ」を、箸やフォーク、歯ブラシなどに装着すれば弱い力でも握りやすくなります。
こんなふうにショップを巡りながら、本来の用途以外の物を使って、自分のできることを広げるアイデアを考えてみるのも楽しいでしょう。
ともあれ大切なのは、できないことを嘆いてあきらめるのではなく、工夫を凝らしてできることを増やしていくことです。
そのような前向きな気持ちが、10秒神経マッサージの効果を高めるとともに、痛みをやわらげる一助になることは間違いありません。
大豆イソフラボンは手指にいい成分。積極的に摂るようにしましょう
女性ホルモンのひとつ、エストロゲンが分泌しづらくなることが、手指の症状に深く関わる場合があります。
エストロゲンの量が体内で減ってしまうと、手指の血流が悪くなり、関節や腱のしなやかさが失われ、へバーデン結節の症状が出やすくなります。
ですから女性は、エストロゲンの量が激減する更年期、出産後や授乳中などに手指の痛みや不具合を感じる人が多いのです。
そこでエストロゲンを補給するためにおすすめなのが、大豆イソフラボン。
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、体の中に入るとエストロゲンとよく似た働きをしてくれます。
大豆イソフラボンは、豆腐や納豆、豆乳などの大豆食品に多く含まれるので、積極的に食べるようにすると、へバーデン結節の症状の軽減や予防に役立ちます。
1日に摂る量は豆腐なら3分の2丁、納豆なら1パック、豆乳ならコップ1杯が目安。
1日で体外に排出されてしまうので、毎日欠かさず食べるように心がけましょう。
痛みやしびれに効く対処法「100‐(引く)7ウォーキング」を紹介します
しつこい痛みやしびれへの対処法として、自分で手軽に行える方法があります。
名付けて「100 -(引く)7ウォーキング」。
全神経を集中して痛みとは違うことを考え、痛みを遠ざける方法。
具体的には、100から7ずつ引く暗算をしながら歩くことです。
ウォーキングしながら、「100引く7は93、93引く7は86、86引く7は79......」と頭の中で引き算を行っていきます。
単純ですが、実際にやってみると意外と難しく、引き算に集中しないと続けられません。
そうやって引き算に集中しているうちに、痛みやしびれから脳の焦点が移っていき、脳がリセットされるのです。
ウォーキングは、太ももなど脚の大きな筋肉を使うので、加齢とともに落ちていきがちな筋肉量を増やしてくれます。
適度な運動は脳の活性化にも効果的で、糖尿病などの生活習慣病の予防にもなります。
頭を使いながら運動する習慣を持つことで、痛みやしびれがやわらぐと同時に認知症予防やダイエットにもつながる、おすすめの方法なのです。