【ちむどんどん】 ニーニーの"ねずみ講"騒動、和彦の「ヒモ化」疑惑...まだ遠い「ちむどんの夜明け」

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「比嘉家の『200万円リレー』」について。あなたはどのように観ましたか?

※本記事にはネタバレが含まれています。

【前回】"あえて"なのか? 複雑でデリケートな「生きづらい現代社会」と逆行する物語

【ちむどんどん】 ニーニーの"ねずみ講"騒動、和彦の「ヒモ化」疑惑...まだ遠い「ちむどんの夜明け」 pixta_50306548_S.jpg本土復帰前の沖縄本島・やんばる地域で生まれ育ったヒロインと家族の50年間の歩みを描くNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第19週。

暢子(黒島結菜)は和彦(宮沢氷魚)との披露宴で、独立&沖縄料理の店を開くことを宣言。

このところ暢子が仕事をしている場面はあまりなかったため、すでにやめたのかと思っていたが、ここでフォンターナを正式に離れ、開店準備を始める。

矢作(井之脇海)が辞めて以降、二ツ橋(高嶋政伸)を除く同僚の名前も顔も残念ながらわからないが、それでもフォンターナには「オーナーは偉そうです! みんな思ってます」と料理対決を挑んだり、「暢子って呼んで」と言い出したり、食材を散々無駄にしたり、イカスミパスタを考案したことになったり(※後に土曜のナレーションで修正される)、スタッフが3人辞めて大変なときに母の再婚話で沖縄に帰ったりと、たくさんの思い出が詰まっている。

こうして振り返ると、暢子が去ったフォンターナにはようやく平和な時が訪れるのではないだろうか。

その一方、かねて不安視していたことが、現実になった。

あちこちから借金し、親からも金を巻き上げる賢秀(竜星涼)と、何でも信じて金を渡す母・優子(仲間由紀恵)の親子関係を「高齢者を騙す振り込め詐欺のよう」と例える方がいたが、まさにその通りの展開で、我那覇(田久保宗稔)と再会した賢秀は黒岩(木村了)の行う「新しいビジネス」なるねずみ講に手を出す。

しかし、自分が騙されていたことを知り、やめさせてくれと黒岩のもとを訪ねるが、やめたければ違約金200万円を持ってこいと言われる。

そして、暢子が母親をバカにされて衝動的に開店資金の200万円をぶん投げ、資金を失った暢子に良子(川口春奈)と博夫(山田裕貴)夫婦が海外旅行費用の200万円を渡すという、奇跡の「200万円リレー」が行われる。

ちなみに、賢秀が暢子に渡した手書きの引換券も200万円だった。

これら全て同額という都合の良さが気になった視聴者も多数いただろう。

しかし、黒岩はおそらくやり手の詐欺師で、もしかしたら比嘉家に伝わる(?)謎の「200万円1単位」ルールをリサーチ済みだったのかもしれない。

一方、今週気になったのは、結婚後の和彦の存在感が薄まっていること。

フォンターナが反社会的勢力に嫌がらせを受けていたときに続き、ネズミ講を目の前にしても、取材もせず、挙句、そこに巻き込まれて職を失うハメに。

日頃追いかけている分野は違えど、新聞記者なのだから、御用新聞の政治記者じゃあるまいし、身近で起こっている事件を黙殺することなどできない気がするが......。

もしかしたらライフワークの「沖縄」も、記者ではなく、父のように学者として追いかけるほうが向いているタイプなのではないか。

苦難の続く展開の中、いつでもちむどんどんしている暢子は、店名を「ちむどんどん」とし、妊娠も発覚。

和彦が暢子のヒモ化する可能性も不安視される中、次週には矢作も再び戻ってくるらしい。

本作の夜明けは、まだまだ遠そうだ。

文/田幸和歌子
 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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