【ちむどんどん】都合のよさにツッコミ続出!? 朝ドラの歴史上、多数派で実に"朝ドラらしい"展開へ

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「"朝ドラらしい"展開」について。あなたはどのように観ましたか?

※本記事にはネタバレが含まれています。

【前回】【ちむどんどん】名作『若草物語』『梨泰院クラス』を想起? 空気をガラリと変える"師弟コンビ"も注目

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本土復帰前の沖縄本島・やんばる地域で生まれ育ったヒロインと家族の50年間の歩みを描くNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第4週。

今週はある意味、実に"朝ドラらしい"展開だった。

舞台は沖縄本土復帰が近づく1971年。

主人公・比嘉暢子(黒島結菜)は決まりかけていた就職先を自ら断ったものの、自分が何をやりたいのかわからず、気が塞いでいた。

そんな中、料理部の助っ人として大会に参加することに。

一方、賢秀(竜星涼)は一獲千金の投資話を持ち掛けられ、すっかりその気になる。

詐欺に騙される、わかりやすくダメな兄と、家族をひたすら信じて見守る母・優子(仲間由紀恵)により、比嘉家がますます困窮するわかりやすい未来が見えている。

実際に本土復帰を前に、「ニクソン・ショック」でドルの価値が急速に下落し、1ドル=360円に固定された為替レートが切り下げられたことで、通貨交換レートが305円になり、沖縄の人たちの所有するドルが2割近く減ったという歴史があった。

さらに復帰直後の沖縄では便乗による物価高騰もあり、社会問題となったらしい。

今のところ、「お約束のニーニによる災厄」として描かれているが、本土復帰に不可欠だった通貨交換の混乱ぶりを本作がどう描くのかは注目したいところだ。

一方、良子(川口春奈)は教師になったものの、仕事をしているシーンよりも、恋バナで頭がいっぱいの様子がメインで描かれる。

これも案外朝ドラらしい。

そして、三女・歌子(上白石萌歌)と、歌子の音楽の才能を見抜き、追いかけまわす音楽教師・下地先生(片桐はいり)とのドタバタのやりとりが同時に描かれる。

貧乏から抜け出したいと思いつつも、安易に一獲千金を息子が狙ったり、娘は子どもの頃からの目標だった教員になったものの、恋で頭がいっぱいだったり、貧困から抜け出す術は一向に見えてこないのに、それでも比嘉家は暢気で、そこそこ幸せそうなのは、案外リアルなのだろうか。

そして今週のメインテーマは、朝ドラ恒例の「自分探しの主人公がやりたいことを見つける」こと。

暢子のアイディアで作った沖縄そばは好評だったが、大会主催者のスポンサーの娘が在籍するライバル校料理部を優位に立たせるため、理不尽な妨害に遭う。

おまけに、鍋が倒れて、出汁がなくなるというトラブルに見舞われ、大ピンチに。

しかし、そこで暢子が子どもの頃から書き留めていた料理ノートにあったナポリタンのレシピを思い出す。

5月6日放送分では、沖縄そばに使用することのないトマト缶が、暢子たちの背後に都合よく大量に置かれていることがネット上で指摘されていたが、5月6日放送分ではトマト缶を使ったのか、ケチャップを入手してきたかなどの説明はなく、他の部員の「フライパン借りてきました!」で、見事ナポリタンが完成。

大好評で大会に優勝し、「美味しいモノを食べるのは最高だけど、食べてもらうのも最高です!」とスピーチ。

そこで東京に行って料理人になりたいという目標を、たった今見つけたことを発表する。

「借金はどうなった?」「結局トマト缶を使ったのか」「小さいフライパンひとつでどうやって大量の?」などなど、ネット上では様々なツッコミが続出しているものの、こうした「どこからともなく都合よく何かが現れて、ヒロインのおかげでうまくいく」展開はむしろ朝ドラの長い歴史の上では多数派であり、王道。

そういった意味で、様々な方向性のチャレンジングな作品が増えている近年では久しぶりの「朝ドラらしい朝ドラ」なのかもしれない。

文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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