【ちむどんどん】名作『若草物語』『梨泰院クラス』を想起? 空気をガラリと変える"師弟コンビ"も注目

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「名作との共通点」について。あなたはどのように観ましたか?

※本記事にはネタバレが含まれています。

【前回】家族のピンチで際立つヒロインの存在感。その中で描かれた「別れ」の意味は?

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本土復帰前の沖縄本島・やんばる地域で生まれ育ったヒロインと家族の50年間の歩みを描くNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第3週。
沖縄の本土復帰が近づく1971年、暢子(黒島結菜)は高校生になっていた。
視聴者が胸を痛めていた比嘉家の借金問題は、大きな解決を見ないまま、母・優子(仲間由紀恵)が畑仕事と内職の傍ら、共同売店で働き、良子(川口春奈)が教員になって家にお金を入れることなどで、回していく生活になっている。


賢秀(竜星涼)が、子どもの頃にねだった頭が良くなるバンドを大人になってもまだつけていることには脱力してしまうが、仕事をしていないことはあまり笑えない。
それでも優しい性格は相変わらずで、町でおばあさんが突き飛ばされる様子に腹を立てたまでは良かった。
だが、殴った相手は暢子の就職先の社長の息子・英樹(時任勇気)だったことから、謝罪を要求される展開に。
真っすぐさゆえに権力者のドラ息子とトラブルになり、苦境に立たされるのは、『梨泰院クラス』のような展開だ。


一方、優等生の良子も教員になったのは良いが、お金を家に入れているという理由で、家事は完全に暢子任せだったり、三女・歌子(上白石萌歌)の体調が悪くても遊びに出てしまったり、フォークダンスイベントに参加するため、ワンピースと靴を新調し、家に入れるお金が少なくなったことで罪悪感に駆られたり。

第1週で、優子が貧しい暮らしの中、さらに困窮している砂川家に自分たちの分のおにぎりをあげたり、豪華な魚料理も自分たち家族は食べず、砂川家に届けに行ったりしたエピソードは『若草物語』を連想させた。


実際、公式サイトで脚本家・羽原大介氏は「まず一つのヒントとして、往年の名作である『若草物語』があって」と語っている。
実は今週の良子のエピソードも、『若草物語』の美しい長女・メグが質素な服しかもっていないことから、友人たちにドレスやアクセサリーを借りてパーティに行き、青年たちに囲まれている様子を幼馴染のローリー(本作では智〔前田公輝〕)に見られ、恥ずかしくなったエピソード「虚栄の市」が元ネタだろう。


さらに、暢子に迷惑をかけたことに責任を感じた賢秀がついに働き始めた一方、英樹に「どうせ玉の輿目当てだろう」と言われた暢子は激怒し、殴りかかろうとする。

それが新たな騒動に発展。
母と共に会社に謝罪に行かざるを得なくなった暢子は、「女のくせに強情だね。女は女らしくしないと」「良妻賢母になるためにも自己主張せず~」などと言われると、「お断りします!」「うちはここで働きたくありません!」と宣言。
すると優子も「自慢の娘です」と笑顔で答える展開が見られた。
「女らしさ」を押し付けられてキレる気丈な主人公は『若草物語』のジョーだが、苦境に立たされつつも、自分の信念を貫く子を親が肯定してくれるのは『梨泰院クラス』と同じ展開。

ただし、そこから長い長い戦いに入った『梨泰院クラス』と異なり、『ちむちむどん』の場合は暢子の東京への旅立ちのきっかけになるのだろうが...。


ちなみに、兄姉たちとは別のパートで本作を盛り上げているのが、歌子だ。
豚のアババがラフテーになってしまい、悲しみながらも、命を大切にいただくことと向き合う兄姉をよそに、「アベベ(もう一頭の豚)はお正月に食べるの?」とまん丸の目で尋ねて一家をフリーズさせた歌子。
成長後は病弱で内気で、姉・暢子を思う智に片思いしているいじらしいキャラに見えるが、暢子の音楽の才能を見抜き、追いかけまわす強烈な音楽教師・下地先生(片桐はいり)とのやりとりは、そこだけ空気がガラリと変わり、安定感抜群のコントになる。
この2人のコンビ、推せる!

文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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