静岡県熱海市在住の人気ガーデナー・水谷昭美さん。定期誌『毎日が発見』の連載「暮らしの晴れ間」から、季節を感じ、日々の暮らしをゆったりと楽しむ水谷さんの暮らしをご紹介します。今回は、「今日は、桜尽くし」をお届けします。
一重はひらひら、八重はふっくら。
桜が咲いた
我が家の庭に咲く一重の桜は、頰をぽっと染めたような淡い色。
少女が恥じらうような、楚々とした風情に惹かれます。
けれど、生命力の強さももっている...。
名前を知らないこの品種、実は、最初に咲くのは晩秋。
寒い冬に休んで、春にもう一度開花するんです。
たくましいなあ。
桜の蜜が大好きなメジロも遊びにきました。
今日は、桜尽くし
八重桜がほころび始めるのは、一重が咲いて、しばらく経った頃。
花びらをみっしりと寄せて丸く咲き、私を春の真ん中に連れていってくれます。
裏庭の木から一枝手折って部屋に飾れば、あたりが幸せ色に包まれて、心の中まで春爛漫。
年に一度のお花見ですから、桜にまつわる手料理も用意して...。
【4月の定番ランチ】桜の香りのおにぎり
市販の桜花の塩漬け(写真下)を、おにぎりの海苔代わりにしました。手のひらに桜花の塩漬けをのせ、ご飯を包むように軽く握るだけ。付け合わせは、鰆の西京焼きと奈良漬け。
桜氷とイカの刺身
桜氷にも、市販の桜花の塩漬けを使いました。
豆腐などのパックに水を入れ、桜花の塩漬け(周りに付いている塩粒を払う)を適量散らして冷凍庫で固めています。
ザクザクと大きく割って(写真下)、イカの刺身の隣に飾れば、お皿の上が明るい春色に。
氷の温度で刺身もひんやりとして、おいしさが増します。
鯛の桜蒸し
鯛は、お花見らしく桜鯛を。
まず3枚におろし、ごく薄く塩をふって下準備をします。
あとは、耐熱の皿に昆布と桜鯛の切り身をのせ、桜の葉を散らして(写真下)、皿ごと蒸
し器で蒸すだけです。
皿ごと蒸すのは、桜鯛のエキスを逃さないため。
白身に移った桜の香りとともにポン酢でいただきます。
手毬のような八重咲きの白妙
桜は白妙という品種。
楚々と咲くオダマキを添えてガラス瓶にさりげなく生け、枝の勢いと野趣を楽しみます。
テーブルの手前に置いたのは、冒頭の一重の桜。
八重より一足先に開花し、初々しい葉っぱも芽吹き始めました。
取材・文/飯田充代 撮影/斎藤大地