「手指の痛み」は温めて改善! 寝ている間の「ナイト手袋」の効果的な使い方

手指に痛みを抱えている人はいませんか? 手指が痛いと血管が縮こまり、指先にカルシウムや酸素などが届かなくなり、骨の変形が進んでしまいます。そこで今回は、富永ペインクリニック院長の富永喜代(とみなが・きよ)先生に「手指の痛みを温めて改善する方法」を教えてもらいました。

寝ている間の「手袋」が効果的

手指の痛みは温めて改善できます

ヘバーデン結節など手指の痛みの治療に力を入れている富永喜代先生は、痛みの改善には温めることが重要だといいます。

「手指の痛みの最大の敵は、冷やすこと。なぜなら冷えは血流を悪くすることに直結するからです。手指が痛いと血管が縮こまって、指先にカルシウムや酸素などが届かなくなり、骨の変形が進みます。そして骨の変形に伴ってますます痛みが増えて、可動域が小さくなり、動かさないことでさらに血流が悪化する、という悪循環に陥ってしまうのです。これを断ち切るためには、指先の血流を改善することにつきます」


ナイト手袋で血流をアップ!

ナイト手袋に必要なポイントは下の4つ。

100 円ショップで売っている日焼け防止用のアームカバー(二の腕まで覆う長さのあるもの)などを使って作ることができます。

 「手指の痛み」は温めて改善! 寝ている間の「ナイト手袋」の効果的な使い方 2203_p102_01.jpgポイント1:指先は開いている

指先は切り落として。知覚神経が発達している指先に物が当たると、眠れなくなってしまい
ます。

ポイント2:指の股はカバーされている

指先の血流を守るために重要な温めポイント。ミトン型でもこの部分がカバーされていれば
OKです。

ポイント3:手のひらがすっぽり覆われている

2本の動脈がループ状に流れている手のひらを覆い、温めることで指先まで血液が行き渡
ります。

ポイント4:長めの丈で手首までしっかり保温

手首は指へ向かう血管や神経が集中する場所。きつく締めると血行が悪くなってしまうので
緩みを持たせて。


起きて活動している間は、手指を冷やさないようにと意識して過ごすことは可能ですが、眠っている間は無防備になりがち。

夜、寝ている間につける「ナイト手袋」が、朝の手指のこわばり改善にも役立つと富永先生はすすめます。

「特に温めるべき部分は、手首と指の股の2カ所。手首には親指側を通る『橈骨(とうこつ)動脈』と、小指側を通る『尺骨動脈』があり、ふたつは手のひらで合流します。どちらも皮膚の浅いところを通っているので、手袋を手首をすっぽり包み込む長めの丈にすることで、ここから熱が放出されるのを防ぎます。指の股も大事な部分。ここを温めることによってマッサージ効果が得られ、血流が守られて朝の指のこわばりが改善できます」

また、朝方に痛みやしびれが悪化しやすい傾向もあるそうです。

「おすすめしたいのが『朝のひじ湯』です。ひじまでお湯につけてしっかりと温め、血行をよくするというものです。よく温まると血行が回復し、痛みがやわらいで、筋肉も柔らかくなるため手指も動かしやすくなりますよ」

朝のひじ湯を習慣に

やり方は、テーブルに深めのバケツを置き、39 〜40度くらいの湯でたっぷり満たします。ゆっくりと腕を入れひじまで湯につけて、5〜10 分ほどの時間をかけてひじから下の腕を温めます。

 「手指の痛み」は温めて改善! 寝ている間の「ナイト手袋」の効果的な使い方 2203_p103_01.jpg

ポイント1:深めのバケツを使う

深めのバケツに湯をたっぷりと張って行ってください。浅めの洗面器ではすぐに湯の温度が下がってしまい、しっかり腕を温めることができません。

ポイント2:しっかりとタオルで拭く

温め終わったあと、しっかりタオルで拭くこと。水にぬれたままだと、水滴が蒸発するときに皮膚の熱も一緒に奪ってしまうので、せっかく温めた腕、手指が冷えてしまいます。

 「手指の痛み」は温めて改善! 寝ている間の「ナイト手袋」の効果的な使い方 fujisan.jpg

イラスト/太田裕子

 

<教えてくれた人>

富永ペインクリニック院長
富永喜代(とみなが・きよ)先生
医学博士、日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床実績を持つ。2008年、愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業し、へバーデン結節外来を開設、のべ18 万人を治療する。

この記事は『毎日が発見』2022年3月号に掲載の情報です。

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