手指に痛みを抱えている人はいませんか? 手指が痛いと血管が縮こまり、指先にカルシウムや酸素などが届かなくなり、骨の変形が進んでしまいます。そこで今回は、富永ペインクリニック院長の富永喜代(とみなが・きよ)先生に「手指の痛みを温めて改善する方法」を教えてもらいました。
寝ている間の「手袋」が効果的
手指の痛みは温めて改善できます
ヘバーデン結節など手指の痛みの治療に力を入れている富永喜代先生は、痛みの改善には温めることが重要だといいます。
「手指の痛みの最大の敵は、冷やすこと。なぜなら冷えは血流を悪くすることに直結するからです。手指が痛いと血管が縮こまって、指先にカルシウムや酸素などが届かなくなり、骨の変形が進みます。そして骨の変形に伴ってますます痛みが増えて、可動域が小さくなり、動かさないことでさらに血流が悪化する、という悪循環に陥ってしまうのです。これを断ち切るためには、指先の血流を改善することにつきます」
ナイト手袋で血流をアップ!
ナイト手袋に必要なポイントは下の4つ。
100 円ショップで売っている日焼け防止用のアームカバー(二の腕まで覆う長さのあるもの)などを使って作ることができます。
ポイント1:指先は開いている
指先は切り落として。知覚神経が発達している指先に物が当たると、眠れなくなってしまい
ます。
ポイント2:指の股はカバーされている
指先の血流を守るために重要な温めポイント。ミトン型でもこの部分がカバーされていれば
OKです。
ポイント3:手のひらがすっぽり覆われている
2本の動脈がループ状に流れている手のひらを覆い、温めることで指先まで血液が行き渡
ります。
ポイント4:長めの丈で手首までしっかり保温
手首は指へ向かう血管や神経が集中する場所。きつく締めると血行が悪くなってしまうので
緩みを持たせて。
起きて活動している間は、手指を冷やさないようにと意識して過ごすことは可能ですが、眠っている間は無防備になりがち。
夜、寝ている間につける「ナイト手袋」が、朝の手指のこわばり改善にも役立つと富永先生はすすめます。
「特に温めるべき部分は、手首と指の股の2カ所。手首には親指側を通る『橈骨(とうこつ)動脈』と、小指側を通る『尺骨動脈』があり、ふたつは手のひらで合流します。どちらも皮膚の浅いところを通っているので、手袋を手首をすっぽり包み込む長めの丈にすることで、ここから熱が放出されるのを防ぎます。指の股も大事な部分。ここを温めることによってマッサージ効果が得られ、血流が守られて朝の指のこわばりが改善できます」
また、朝方に痛みやしびれが悪化しやすい傾向もあるそうです。
「おすすめしたいのが『朝のひじ湯』です。ひじまでお湯につけてしっかりと温め、血行をよくするというものです。よく温まると血行が回復し、痛みがやわらいで、筋肉も柔らかくなるため手指も動かしやすくなりますよ」
朝のひじ湯を習慣に
やり方は、テーブルに深めのバケツを置き、39 〜40度くらいの湯でたっぷり満たします。ゆっくりと腕を入れひじまで湯につけて、5〜10 分ほどの時間をかけてひじから下の腕を温めます。
ポイント1:深めのバケツを使う
深めのバケツに湯をたっぷりと張って行ってください。浅めの洗面器ではすぐに湯の温度が下がってしまい、しっかり腕を温めることができません。
ポイント2:しっかりとタオルで拭く
温め終わったあと、しっかりタオルで拭くこと。水にぬれたままだと、水滴が蒸発するときに皮膚の熱も一緒に奪ってしまうので、せっかく温めた腕、手指が冷えてしまいます。
イラスト/太田裕子