美容やダイエットなど、感度の高い人たちの間で話題のオートミール。しかし近年は、美容やダイエットのみならず、手軽な健康食としてもさらに人気が高まっています。今回は、気になる栄養価から手軽に取り入れられるレシピまで、オートミールにまつわる知識や活用法を紹介します。
オートミールってそもそもどんなもの?
オートミールとは、オーツ麦(燕麦、カラス麦とも呼ばれます)を脱穀して加工したもの。
オーツ麦を表す「oats」と食事の「meal」を掛けて「オートミール」と呼ばれて、加工の方法などによって大きく5つに分けられます。
それぞれの種類によって、向いている調理方法や粒の大きさ、食感が異なるので、まずは特徴を知ることから始めましょう。
クイックオーツ
スーパーマーケットなどで目にする、一般的なタイプで初心者におすすめ。脱穀したオーツ麦を蒸してからローラーで平たく伸ばし、乾燥させたロールドオーツをさらに細かくカットしているので、水分の浸透が早く、時短調理に最適です。
ロールドオーツ
クイックオーツよりも粒が大きく、食感が楽しめます。適度な硬さで粘り気が少なく、初心者でも食べやすいタイプです。
スティールカットオーツ
脱穀したオーツ麦の粒を2~3分割したもの。生の状態なので、煮込む必要があります。
オーツブラン
オーツ麦の外皮部分。食物繊維が方法で、シリアルでもおなじみのタイプ。
インスタントオーツ
ロールドオーツを食べやすく加工したタイプ。初心者でも取り入れやすいです。
オートミールと、しばしば混同されがちなのがグラノーラです。
どちらも効率良く栄養を摂取できる加工食品であるという共通点はありますが、グラノーラは、オートミールをはじめ、ナッツやドライフルーツなどに、蜂蜜やオリーブオイルなどを加えて焼き上げた加工食品を指します。
日本でも、朝食の選択肢として馴染み深い食品です。
オートミールの栄養価、健康効果は?
"体に良い"、"栄養価が高い"というイメージが浸透しているオートミールですが、実際にどういった栄養価があり、どのような健康効果が期待できるのでしょうか。
GI値
ご飯やパスタ、うどんなど精白された穀物を摂取すると、血糖値が急上昇し、その血糖値を下げるためにインスリンが体内に分泌されます。
インスリンは、脂肪をため込もうとする働きがあるため、ダイエットには大敵なのです。
その点、精白していない麦を加工したオートミールは、血糖値を緩やかに上昇させるため、ダイエットフードに最適。
食後の血糖値の上がりやすさを示す値、GI値で比較すると、白米のGI値が84であるのに対し、オートミールのGI値は55というデータも。
この数値は、玄米と同程度の低さとされ、血糖値の急上昇や急下降を抑えられることから、健康的な食生活の一助になりそうです。。
ミネラルが豊富
オートミールの最大の特徴は、オーツ麦を脱穀して粒ごと加工して作る全粒穀物であること。
例えば小麦や白米のように、胚芽や種皮を取り除いた一般的な食品と比較して、胚芽や種皮に含まれるミネラル類をそのまま摂取できるという点がオートミールの優位性の一つです。
数値的に見ても、不足しがちなミネラルの1種である鉄分について、白米の約6倍、食パンの約4倍の量を含有。
鉄分が豊富であるということは、貧血やうつ病などの予防にも効果が期待されます。
また、骨や歯のもととなるカルシウムの含有量も比較的多めであり、ヨーグルトや牛乳と一緒に摂取すれば、カルシウム不足の解消にもつながります。
食物繊維が豊富
米やパンより、食物繊維が高めであると言われるオートミール。
オートミールに含まれる食物繊維は、実に白米の約20倍。
玄米と比べても約3倍の食物繊維を含んでいます。
また、β-グルカンという水に溶けやすい水溶性食物繊維が充実していて、水に溶けない不溶性食物繊維とのバランスが良いことから、腸内環境の改善による便秘の予防・改善、免疫力アップに役立ちます。
水溶性食物繊維が豊富であることから、血糖値やコレステロールの上昇を抑えることができ、糖尿病や動脈硬化のリスクを低減させる働きも期待されます。
ビタミンなどさまざまな栄養素
ミネラルや食物繊維が豊富なオートミール。
他にも、不足しがちな栄養を効率良く摂取できため、体調を整えたい時にぴったりです。
例えばビタミンB1。
エネルギー代謝に関わるビタミンB1が含まれているので、夏バテ予防にも役立ちます。
また、ご飯150gとオートミール40gを比較すると、葉酸の値が倍以上というデータも。
特に葉酸の摂取が必要とされる妊娠中の女性にとっては、便秘の解消やカロリーコントロール、妊娠糖尿病の予防など、さまざまな効果が期待できることから、頼りになる食品と言えるでしょう。
オートミールで痩せる? ダイエット食としての効果は?
このように、栄養豊富なオートミール。
栄養素が果たす働きを生かし、上手に食生活に取り入れることで、体質改善やダイエットにつなげることもできると話題になっています。
例えば、GI値の低さが表すように、血糖値を緩やかに上昇させることで余分な脂肪の蓄積を防ぐことができます。
また、食物繊維が豊富で葉酸の値が高いので、腸内環境の改善、便秘の予防につながる可能性も。
水溶性食物繊維が豊富であるという特性は、血糖値やコレステロールの上昇抑制にも関与します。
オートミール自体の特性以外に、その食べ方にもダイエット食として活用するためのヒントが隠されているようです。
オートミールは、牛乳やお湯などで煮てリゾットやお粥状にして食すのが主流なので、少量でも満腹感を得られます。
また、オートミールなどをシロップやオイルを含んで加工しているグラノーラと比べ、1食分のローカロリーに抑えることが可能に。
そのため、普段の食事をオートミールに置き換えることで、食事の摂取量を減らすことができ、間食などを抑制することにもつながります。
しかしあくまでも大切なことは、栄養バランスの良い食事を、規則正しく摂取するための一つの選択肢として、オートミールを上手に取り入れることです。
夜に食べすぎたり、ナッツやドライフルーツ、シロップなどトッピングをし過ぎたりすれば逆効果になることも。
規則正しい生活や定期的な運動と合わせて、無理なく食生活に取り入れ、生活改善に取り組むことが、健康的にダイエットをする近道になるのではないでしょうか。
オートミールをおいしく、上手に食事に取り入れて健康に
栄養価が高く、体にも優しく、取り入れ方次第ではダイエット効果も得られるなど、メリットの多いオートミールですが、同様に、おいしさの面での評価が低いという話も耳にします。
麦の風味が強く、グラノーラなどと比べると味気がないため、食べ難いと感じてしまうようです。
一方で、グラノーラなどとは異なり、甘い味付けなどがされていないので、食事の献立に取り入れやすいという声も。
ここでは、無理なく食事と置き換えられる上手な取り入れ方、飽きのこないオートミールを使った料理、調理法をまとめます。
オートミールの基本的な食べ方はお米代わりに使う"ご飯化"
日本人にとって、オートミールを抵抗感なく、日常の食事に取り入れる際のおすすめの方法は、オートミールをお米に見立てる"ご飯化"です。
作り方は簡単。
レンジを使ったり、一晩寝かしたりして、オートミールをふやかしましょう。
●レンジでふやかす"ご飯化"
オートミールとオートミールがひたるくらいの水分を入れた耐熱皿にラップをかけ、電子レンジで加熱します(600Wで2~3分程度)。
玄米のような香りがあるものの、シンプルな味わいなので、少し柔らかめのご飯感覚。
好みに合わせて、アレンジを楽しみましょう。
【お茶漬けの素で】
オートミールにお茶漬けの素と規定量の水を加えレンチン。ヘルシー茶漬けに。
【牛乳や豆乳で】
牛乳や豆乳でふやかすのも好相性。フルーツやチーズなどを加えれば洋風にも。
【好みの味つけで】
ふやかす際、顆粒だしやツナ缶、お好みの具材を加えてレンチンすればOK 。その他、石焼ビビンバ風や、小麦粉の代わりにオートミールを使うピザなど、アイデア次第で、無限にアレンジが楽しめるのも、オートミールならではです。
●一晩寝かせて手軽に朝食
牛乳やヨーグルトなどにオートミールを一晩漬け込んでふやかす調理法。
夜に仕込めば翌朝そのまま食べられて、忙しい朝にぴったり。
ヨーグルトをかけてすぐ
一晩おいたもの
飽きずに継続するためには、フルーツやスパイスなど、お好みのトッピングをアレンジ。
ただし、シロップやナッツ類のトッピングのし過ぎは、糖分や脂肪分の摂取過多に注意を。
技あり!オートミールの"ご飯化"レシピ5選
健康な体づくりもダイエットも、肝になるのは、飽きずに毎日続けること。
そこで、"ご飯化"をさらに進化させた、おすすめのレシピをご紹介します。
爽やかな酸味と食感でおもてなしにも
「鮭フレークとアボカドのちらし寿司」
1人分303kcal/塩分1.4g
材料(1人分)
オートミール(ロールドオーツ)...40g
水...60ml
アボカド...1/4個
きゅうりの浅漬け...20g
しょうがの酢漬け...10g
鮭フレーク...30g
刻みのり...適量
白いりごま...適量
酢...小さじ2
作り方
(1)耐熱ボウルにオートミール、水を入れてさっと混ぜ合わせ、ラップをする。電子レンジ600Wで3分加熱する。
(2)(1)に酢を加えて混ぜ、粗熱をとる。
(3)アボカド、きゅうりの浅漬けは1cm角程度に切る。しょうがの酢漬けは粗めのみじん切りにする。
(4)(2)を器に盛り、鮭フレーク、刻みのり、(3) 、白ごまをのせる。お好みでしょうゆを少々かけてもいい。
あさりだしの風味が上品な本格雑炊
「おろし大根とあさりの雑炊」
1人分293kcal/塩分2.2g
材料(1人分)
オートミール(ロールドオーツでもクイックオーツでもお好みで)...40g
大根...100g
あさり水煮缶...1/2缶
卵...1個
三つ葉...10g
刻みのり...適量
水...200ml
しょうゆ...小さじ1
塩...ふたつまみ
作り方
(1)大根はすりおろす(汁はきらない)。
(2)鍋にオートミール、(1) 、あさり水煮缶(汁ごと)、水を入れて中火にかける。煮立ったらしょうゆ、塩で味付けをする。
(3)溶いた卵を回し入れ、半熟になったら火を止める。
(4)器に盛り、ざく切りにした三つ葉、刻みのりをのせる。
具だくさんで栄養満点 腹持ちも抜群
「炊き込みご飯」
1人分389kcal/塩分1.6g
材料(1人分)
オートミール(ロールドオーツ)...40g
水...40ml
厚揚げ...50g
豚切り落とし肉...50g
芽ひじき(乾燥)...3g
ごぼう...50g
絹さや...10g
麺つゆ(3倍濃縮タイプ)...小さじ2
作り方
(1)耐熱ボウルにオートミール、水を入れてさっと混ぜる。
(2)厚揚げは1cm角程度に切り、豚肉は1cm幅に切る。芽ひじきは水(分量外)で戻し、しっかりと水けを絞る。ごぼうはささがき、絹さやは筋を取り除いて斜め切りにする。
(3)(1) に(2) 、麺つゆを加えてさっと混ぜ、ラップをする。
(4)電子レンジ600Wで3分加熱する。
(5)ラップを外して余分な蒸気を飛ばすように全体をよく混ぜる。
焼いた卵をのせて手軽に洋食
「オムライス」
1人分427kcal/塩分1.6g
材料(1人分)
オートミール(ロールドオーツ)...40g
水...30ml
鶏もも肉...50g
玉ねぎ...30g
卵...1個
ミックスベジタブル...30g
トマトケチャップ...大さじ1
塩...ひとつまみ
こしょう...少々
オリーブ油...小さじ1
パセリのみじん切り...適量
作り方
(1)耐熱ボウルにオートミール、水を入れてさっと混ぜる。
(2)鶏もも肉は1.5cm角程度の小さめの一口大に、玉ねぎはみじん切りにする。ミックスベジタブルは冷凍であれば解凍する。
(3)(1) に(2) 、トマトケチャップ、塩、こしょうを加えて混ぜ、ラップをする。
(4)電子レンジ600Wで3分加熱する。
(5)卵はよく溶きほぐし、塩、こしょう(各少々、分量外)を加えて混ぜ合わせる。オリーブ油を熱したフライパンで半熟になるまで焼く。
(6)器に(4)を盛り、(5)をのせ、お好みでトマトケチャップ(適量)をかけてパセリを散らす。
パラパラ食感が楽しい中華風アレンジ
「チャーハン」
1人分312kcal/塩分2.5g
材料(1人分)
オートミール(ロールドオーツ)...40g
水...40ml
ロースハム...1枚
卵...1個
味付きザーサイ...10g
長ねぎ...20g
ちりめんじゃこ...10g
ごま油...小さじ1/2
しょうゆ...小さじ1/2
塩...ひとつまみ
こしょう...少々
白いりごま...小さじ1/2
万能ねぎの小口切り...適量
作り方
(1)耐熱ボウルにオートミール、水を入れてさっと混ぜる。
(2)ハム、味付きザーサイ、長ねぎは粗みじん切りにする。
(3)(1)に(2) 、ちりめんじゃこ、ごま油、しょうゆ、塩、こしょうを加えて混ぜ合わせ、ラップをする。電子レンジ600Wで3分加熱する。ラップを外して余分な蒸気を飛ばすように全体をよく混ぜる。
(4)(3)に溶いた卵を加えてよく混ぜ、電子レンジ600Wで30秒加熱する(ラップはしない)。取り出して、白ごまを加えてよく混ぜ合わせる。器に盛り、万能ねぎを散らす。
罪悪感なし!朝食&間食をオートミール化で食べ応えアップ
体調を整え、健康的な食生活のベースとなるのが朝食です。
また、ダイエットの大敵といえば、小腹が空いた時の間食。
朝食や間食をオートミールに置き換えることで、無理なく、健康的な食習慣が実現できます。
そして続けるためには、手軽さが鍵に。
忙しい朝の時短料理にもおすすめのレシピをご紹介します。
一晩おくだけで手軽 朝食にぴったり
「ヨーグルト りんご シナモン」
1人分304kcal/塩分0.1g
材料と作り方(1人分)
(1)器にお好みのオートミール(40g)とプレーンヨーグルト(100g)を混ぜ合わせ、ラップをして一晩冷蔵庫に入れる。
(2)(1 )に1cm角に切ったりんご(1/4個)をのせ、はちみつ(大さじ1)をかけ、あればシナモンパウダー(5ふり)をふる。
フルーツ×ナッツとの相性も抜群です
「牛乳 バナナアーモンド ココアパウダー」
1人分448kcal/塩分0.2g
材料と作り方(1人分)
(1)器にお好みのオートミール(40g)、牛乳(150ml)を入れてさっと混ぜ、10分〜一晩おいてふやかす(温かくしたい場合はラップをして電子レンジ600Wで2分加熱する)。
(2)輪切りにしたバナナ(1/2本)、砕いたアーモンド(15g)をのせ、はちみつ(大さじ1)をかけてココアパウダー(小さじ1/2)をふる。
洋風リゾットが簡単に 卵をのせてもいい
「牛乳 チーズ ベーコン」
1人分389kcal/塩分1.2g
材料と作り方(1人分)
(1)耐熱ボウルにお好みのオートミール(40g)、牛乳(200ml)、ピザ用チーズ15g)、1cm幅に切ったベーコン(1枚)、塩(ふたつまみ)、こしょう(少々)を入れて混ぜ合わせ、ラップをする。
(2)電子レンジ600Wで3分加熱する。
ツナがだし代わりに おにぎりにも!
「ツナ缶 塩昆布」
1人分214kcal/塩分1.0g
材料と作り方(1人分)
(1)耐熱ボウルにお好みのオートミール(40g)、ノンオイルツナ(小1缶・70g、汁ごと)、水(200ml)を入れてさっと混ぜ、ラップをして電子レンジ600Wで3分加熱する。
(2)塩昆布(3g)、白いりごま(小さじ1/2)をのせる。
ほんのり中華粥風で食欲をそそる
「豆乳 しらす」
1人分285kcal/塩分1.0g
材料と作り方(1人分)
(1)耐熱ボウルにお好みのオートミール(40g)、無調整豆乳(200ml)、鶏がらスープの素(小さじ1/2)、塩(ふたつまみ)を入れてさっと混ぜ、ラップをして電子レンジ600Wで3分加熱する。
(2)しらす(20g)、万能ねぎの小口切り(10g)をのせ、ごま油(小さじ1/2)を回しかける。
今回はオートミールについてご紹介しました。
簡単レシピを参考に、オートミールの優れた栄養価を上手に引き出しながら、普段の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
体が喜ぶ、新しい食習慣を発見できるかもしれません。