なんだかやる気が出ない...そんな日々を送っているのなら、「脳のどこかに未発達の脳番地があるかもしれない」と、脳内科医・加藤俊徳さんはいいます。「脳番地」とは、加藤医師が考案した脳の各部位を機能ごとに名付けたもの。今回は、著書『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(すばる舎)から、日常生活に関係する8つの脳番地を鍛えるコツを連載形式でお届けします。
好き嫌いがない人は元気がでない
感情系脳番地は、「快」「不快」を感じ、「好き」「嫌い」のような気持ちを生み出します。
そして、脳の司令塔である思考系脳番地の判断に、強い影響を与えます。
感情系が「楽しい」と感じると、思考系は積極的なアウトプットをしようとします。
逆に、感情系が「イヤだ」と受け取ったときは、それを回避するアウトプットをしようとします。
好きな人に会う約束はすぐ決まりますが、嫌いな人に会う約束はなんとか回避しようとするでしょう。
感情的にイヤなことには行動力が鈍ります。
「そんなの当たり前だろ」と思うかもしれませんが、活動的な人とやる気に乏しい人とでは、この感受性が大分違うのです。
活動的な人は感情系を上手に使っているので、自分が楽しいと思えること、好きなこと、気分がよくなることなどに気づくことが得意です。
だから、次々とやりたいことを見つけて、積極的に行動できます。
やる気が出ない人は、自分の気持ちや好みに鈍感なので、興味をもてること自体が少なくなりがちです。
感情系が未発達だから感じ方が鈍いのです。
好きなのか嫌いなのか、やりたいのかやりたくないのか、そういうことがハッキリと自覚できるようにならないと、エネルギーがわきにくいのです。
感情は過去の記憶に影響される
さらに、感情系脳番地が弱いと、自分の衝動をコントロールしにくくなります。
不安にかられているときは、思考系に影響して判断が二転三転することがあります。
怒りを抑えられずに相手を理不尽に攻撃してしまうこともあります。
また、快、不快の受け取り方は、過去の記憶に影響を受ける場合があります。
衝撃的な映像の記憶があると、視覚映像によってネガティブな脳反応が起こります。
人から傷つくことを言われたら、言葉に敏感になって行動に影響します。
イヤな肌触りの記憶なら、「さわらないように」脳の働きの引き金が引かれます。
もともと持っている記憶と、新しい入力情報が合わさって、行動に影響を及ぼすのです。
こうした反応は自分を守るための防御反応として起こるので、一概に悪いものではありません。
ただ、防御反応が過剰になれば不安感が強くなり、行動すべきときにも抑制がかかり過ぎます。
ですから、常に情緒を安定させるには、感情系脳番地のトレーニングが必要です。
他人の感情を読み取るのも感情系の役割
また、感情系脳番地には、自分の感情をコントロールするだけでなく、他人の感情を読み取る機能もあります。
日頃のコミュニケーションで感情系脳番地が鍛えられていると、他人のささいな違和感からでも、「なんだか浮かれているな」とか「落ち込んでいそうだな」と察知できるようになります。
これが共感能力の土台となり、人間関係を円滑にしていきます。
感情系が未発達だと、状況に合わせた態度が取れずに相手を傷つけてしまったり、逆に「私は嫌われているかも」と必要以上に相手に対してビクビクしたりと、脳の状態が不安定になります。
【感情系を鍛えるトレーニング】
雑誌などのモデルを切り抜いて「好きな顔」と「嫌いな顔」に分ける
好きな顔20人、嫌いな顔20人を、雑誌から切り取って集めてみましょう。
そして、好きな顔の人たちを見てなぜ好きか言葉にしてみます。
嫌いな顔の人たちも同様にやってみましょう。
まず異性、その次は同性でもやってみましょう。
これをやると、自分の感情が相手の見た目によって変化することがわかってきます。
好きな顔、嫌いな顔を知っておくことは、自分の感情を知るために有効です。
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みるみる気力がわいてくる日常生活のコツなど、脳とやる気の科学が全6章にわたって解説されています