「聞いてるつもり」になってませんか?他人の真意が読み取れるようになる「聴覚系脳番地」の鍛え方

なんだかやる気が出ない...そんな日々を送っているのなら、「脳のどこかに未発達の脳番地があるかもしれない」と、脳内科医・加藤俊徳さんはいいます。「脳番地」とは、加藤医師が考案した脳の各部位を機能ごとに名付けたもの。今回は、著書『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(すばる舎)から、日常生活に関係する8つの脳番地を鍛えるコツを連載形式でお届けします。

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会話が少ない人は脳を見ると分かる

人付き合いをあまりしていない人や、人と話す機会が少ない人は、MRIで見るとよくわかります。

それは、聴覚系脳番地が発達していないからです。

普段の会話量が少ないと、人の声も自分の声も聞く機会が少なくなり、聴覚を使う機会が減ります。

その結果、脳の聞く力が弱くなります。

活動的な人は、人との交流や、外に出かける機会が多いので、聴覚系脳番地がよく発達しています。

「脳の聞く力」も経験値がものを言うのです。

人の微妙な変化に気づくように意識しよう

聴覚系脳番地は、コミュニケーションを通じて成長するのが普通です。

家族や友だちとの会話から、脳へのインプットの多くを得ています。

聴覚系が研ぎ澄まされていると、相手の違和感のある言葉に敏感に反応します。

「どうしてこんな言い方をしたんだろう」「この人は、本当は違うことを言いたいんじゃないのか」と、相手の真意に気づきやすくなるのです。

普段、会話量が少ないと、なかなか相手の言葉のなかにある違和感に気づきません。

人と人は会っているうちに親密になって、微妙な声色の変化などから相手の言おうとしていることもわかってきます。

人と同じ時間を過ごすことは、聴覚系が発達する理由のひとつです。

ひとり暮らしだったり、人と会話する機会が少ない人は、聴覚系を意識的に鍛えていかないと、人の機微に疎くなってしまいます。

「聞いているつもり」で聞けていない人が多数

じつは、世の中には「聞いているつもりで聞けていない」人がたくさんいます。

双方向で話しているコミュニケーションのなかでは、なかなか気づきにくいものです。

人間は本来、騒がしい雑踏のなかにいても、自分の聞きたい音だけを拾う力があります。

うるさいカフェにいても、友人の話す声だけを拾えるし、聞き覚えのある曲が流れると「あ、知ってる」と思います(言葉は左脳、音は右脳で聞いています)。

「つまらない講演だなあ」とぼんやり聞き流していても、興味のある話題になった途端、聴覚系が反応して意識が鋭敏になったりします。

ですが、聴覚系脳番地が未発達だと、こうした本来耳に入ってくるはずの音や声をスルーして、脳へのインプットがうまくできなくなります。

ときどき「さっきの会議で、〇〇さんが××と言ってたけど......」という話になったときに、「えっ、〇〇さんそんなこと言ってた?」と驚いている人がいます。

こういうことが頻繁な人は、話を真剣に聞いていないというより、聴覚系脳番地が衰えている可能性があるので、トレーニングが必要です。

【聴覚系を鍛えるトレーニング】
ラジオで聞いた言葉を、声に出して繰り返す

普段、会話のなかで、聞いたことがどれだけ頭に残っているかを自分でテストすることはできません。

頭に残っていないことは、そもそも確認できないからです。

そこで、ラジオを活用しましょう。

ラジオを録音しながら、パーソナリティーの発言を、自分ですぐに繰り返します。

1日5分から10分、シャドーイングのようにこれを行うと、聴覚系の経験値がアップします。

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みるみる気力がわいてくる日常生活のコツなど、脳とやる気の科学が全6章にわたって解説されています

 

加藤俊徳(かとう・としのり)
新潟県生まれ。脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。1991年、脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。加藤式脳画像診断法(MRI脳相診断)を用いて、1万人以上を診断・治療する。ADHDコンプレックス(併存疾患型ADHD)を疑われる人の学習指導や適職指導など、薬だけに頼らない治療を行う。

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『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』

(加藤俊徳/すばる舎)

行動力、実行力、会話力は脳を鍛えることで成長します! 脳の「やる気」を効率よく引き出す日常生活でのコツを学べば、エネルギッシュに活動できるようになるかも。気力がわかない人はもちろん、アイデアがなかなか浮かばない、効率よく仕事したい人も一読を。

※この記事は『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(加藤俊徳/すばる舎)からの抜粋です。
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