なんだかやる気が出ない...そんな日々を送っているのなら、「脳のどこかに未発達の脳番地があるかもしれない」と、脳内科医・加藤俊徳さんはいいます。「脳番地」とは、加藤医師が考案した脳の各部位を機能ごとに名付けたもの。今回は、著書『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(すばる舎)から、日常生活に関係する8つの脳番地を鍛えるコツを連載形式でお届けします。
行動スピードを上げるとやる気がわく
活動的な人は動作にキレがあります。
立ち上がりが速く、歩くのも速く、いろんなことへの反応が早いです。
反対に、やる気に乏しい人は、いろいろなことがスローになります。
身体の動きがスローだと、ますますやる気が失せていきます。
身体と脳はつながっているので、身体が動けばやる気はそれなりに出るのです。
私たちが身体を動かすときは、思考系(脳番地)が運動系に「動け」と命令しています。
運動系は脊髄を通って筋肉につながっており、筋肉が動くことで行動に結びつきます。
動作にキレを出すには、筋肉を動かすことによる運動系脳番地の活性化と、さまざまな作業を行う思考系から運動系への指令を増やすことです
運動系が未発達だと、やることを行動に移すのが遅くなります。
反応が遅いのは動く練習をしていないから
たとえば新入社員は、言われたことにどれだけ素早く反応できるかで、運動系脳番地の発達度合いがだいたいわかります。
動く練習をしてきていないと、慣れないことにはすぐに反応できません。
普段からスポーツや運動をやっている人は、欲求の中枢である視床下部が鍛えられるため、性ホルモンをはじめとしたいろんなホルモンの働きがよくなり、自然と活動的になります。
昔は、朝礼のときにラジオ体操をする会社がよくありましたが、あれは理にかなっていて、「これから仕事をするぞ」と身体を目覚めさせる効果があったのです。
「動ける身体」がないと始まらない
普段使っていない筋肉は、運動系が強く命令しないと思いどおりには動きません。
言うことをきかせるために、大量のエネルギーを消費することになります。
試しに上のまぶたを動かさずに、下まぶただけで瞬きをしてみましょう。
たいていの人はできないし、とても疲れるはずです。
これは、普段ほとんどしない動きなので、脳の運動系と下まぶたの筋肉の連動ができていないからです。
同じような理屈で、身体がかたい人はそれ自体で脳が疲れます。
身体がかたいとは、身体の可動域が狭いということです。
たとえば、腕周りの筋肉が縮こまっていると、伸び伸びとは動けません。
腕を大きく動かそうと思ったら、脳はわざわざ「筋肉をゆるめて伸ばせ」と強く命令しなければなりません。
また、筋肉が少ない人が重たいものをもつときは、普段やらない筋肉の使い方をします。
ですから、全身のバランスを取るために、運動系はかなりのエネルギーを消費します。
だから動きが遅くなるのです。
こんなふうに、身体を動かすことにいちいち脳エネルギーを過剰に割いていては、非効率です。
動作がスローな人は、「動ける身体」をつくっていくことが大切です。
【運動系を鍛えるトレーニング】
ティッシュペーパーを両手で同時に丸めて、お手玉をする
ティッシュペーパーを丸めるためには、左右5本の指を上手に使わなければなりません。
まずは、左右同時に両手を休めないで丸めてみましょう。
固くしっかり丸くします。
それができたら、今度は、1メートル以上、上に投げ上げてお手玉をします(投げる瞬間からキャッチするまでしっかり目で追うことで、目の筋肉も鍛えられます)。
お手玉は、利き手と反対の手もしっかり使うことができます。
時計回り、反時計回り両方のお手玉を3分ほどやってみましょう。
【最初から読む】そのうち、やろう・・・でダラダラ。そんな人は「思考系脳番地」が弱いかも!?
みるみる気力がわいてくる日常生活のコツなど、脳とやる気の科学が全6章にわたって解説されています