なんだかやる気が出ない...そんな日々を送っているのなら、「脳のどこかに未発達の脳番地があるかもしれない」と、脳内科医・加藤俊徳さんはいいます。「脳番地」とは、加藤医師が考案した脳の各部位を機能ごとに名付けたもの。今回は、著書『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(すばる舎)から、日常生活に関係する8つの脳番地を鍛えるコツを連載形式でお届けします。
「自分のやり方」しかできないのはなぜ?
普段からやる気のある人は考えが柔軟で、新しいことにあまり抵抗がありません。
やる気の乏しい人ほど頑固になって、受け入れるのを嫌がります。
頑固な人が自分のやり方に固執するのは、やり方を変えると脳が働かなくなるからです。
これは脳の「理解系脳番地」が発達していないことが原因です。
理解系脳番地は、目(視覚系)や耳(聴覚系)といった、外部からの情報を理解する機能を担っています。
外部から入ってくる情報を理解する力が乏しいと、大量のエネルギーが必要になるので面倒くさく感じてしまいます。
頑固な人が、人から言われたやり方には対応できなくても、自分で思いついたやり方であればできるのは、自分のやり方なら理解系脳番地が働くからです。
利害を度外視して習慣を変えてみよう
理解系脳番地を鍛えるには、利害を考えないで、今自分がいいと思ってやっている習慣と真逆のことをやってみるのがおすすめです。
たとえば、いつも始業ギリギリに出社している人が、1時間早く出社してみるだけでも、かなり頭が柔軟になります。
仕事が始まる前の1時間のあいだに、会社でどんなことが起きているのか新しい情報が得られるからです。
始業20分前まで会社が開いてないとか、みんなも10分前くらいに駆け込んでいるとか、自分より早く来て打ち合わせをしている他部署の人がいるとか、そういうことがわかってきます。
そうした、「今まで知らなかったことを知る」という経験すると、頑固さが消えていくのです。
経験や情報が頭をやわらかくする
頑固の主な原因は、経験不足や情報不足です。
経験が少ないと頑固になるのは大人に限ったことではなく、「イヤだ、イヤだ」とごねる子どもも同じです。
たとえば、食事の買い物は妻に任せきりの方ならスーパーでどんな品物が売っているか確認しにいくとか、テレビではニュースしか見ない方なら連続ドラマを見てみるというように、普段やらないことをやってみましょう。
どんなことでもいいので、少し行動パターンを変えて「へえ、そういうことだったのか」と思える経験をすることで頭がやわらかくなります。
「理解できた」「わかった」という感覚が、理解系脳番地を発達させていくのです。
また、理解系は「先を読む力」や「空間を把握する力」にも関わっていて、ずーっとオフィスで座っている人の場合、状況に反応して先回りするとか、即座に気を利かせるといった能力が育ちにくくなります。
こうした気遣いが苦手な方も、自分で意識して脳を鍛えていくのがいいでしょう。
【理解系を鍛えるトレーニング】
机やテーブルの位置を変えてみよう
職場では、いつも使っている仕事机やテーブルの位置、モノの配置や置き場が決められていて、長いあいだそのままのことがよくあります。
しかし、ときどきレイアウトを変えてみると、前より便利になったり、気分転換になったりして、思いのほか能率が上がります。
仕事机の位置を変えると、それに合わせて、複数の物の配置を変えざるを得なくなります。
この一連の作業によって理解系が刺激されます。
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みるみる気力がわいてくる日常生活のコツなど、脳とやる気の科学が全6章にわたって解説されています