誰もが抱える仕事や人間関係の悩み。キャビンアテンダントでの経験から人材教育の講師に転じた三上ナナエさんは「全ては気遣いでうまくいく」と言います。そこで、三上さんの著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(すばる舎)から、自分の魅力をアップし、対人関係もスムーズにする気遣いスキルを連載でお届け。自信をつけて「相手から信頼される気遣い」を身につけてみてはいかがでしょうか。
服の色に「熱いメッセージ」を込める
人間が見える色にもまた、それだけの色が見える意味や理由があります。
色が生理的、心理的な作用があることは、さまざまな実験検証の結果から明らかになっています。
ビジネス、プライベートどちらのシーンにおいても色の与えるメッセージを考えて選んでいくことは、相手への気遣いに繋がるのです。
1960年アメリカの大統領選挙で、ジョン・F・ケネディ氏がイメージコンサルタントを雇った話は有名です。
それまではラジオ演説が主流でしたが、爆発的にテレビが普及したのをきっかけに、視覚でもメッセージを訴える戦略を立てました。
話し方、立ち居振る舞い、その頃はモノクロテレビでしたがスーツとネクタイのコントラストなども戦略の一つでした。
これを機に、視覚で訴えること、色のメッセージを考えて洋服を身につけるという習慣が引き継がれていったのです。
たとえば、「濃紺のジャケット」「赤のネクタイ」「白のシャツ」とお決まりのスタイルで演説するのは、紺は「誠実」、赤は「情熱」、白は「潔白」、そんなメッセージが秘められているからかもしれません。
ビジネスシーンでは、男性であればネクタイの色使いなどは大きなポイントの一つです。
苦情対応などの際に、赤のネクタイは挑発的で反省の色に見えません。
刺激の少ない「グレー」や「茶系」が妥当です。
堅い雰囲気の客先であれば、「紺」など「青系」が安心感、誠実感を出します。
初めて訪問する客先であれば、親しみや知的な雰囲気を与える「黄色系」などがいいでしょう。
女性が多い場所であれば、思いきって「ピンク系」にしてみるのも一つの手です。
相手目線で選ぶことを忘れないで
でも、ここでお伝えしたいのは、シーン別の色使いのコツというわけではありません。
「相手やシーンを考えて色を選ぶ」ことの大切さを、ぜひ覚えておいてほしいのです。
私が、以前ある企業に提案書を持って伺ったときのことです。
私は自分の好きな色を提案書のメインカラーに選びました。
それを見た担当の方が「この色はライバル会社のメインカラーなんですよね......」と一言。私は大汗をかきました。
自分本位でなく「相手にとってどうなのか」という視点で色を考えなかったために大失敗した例です。
私たちのまわりにあふれる無数の色。
ぜひその色の意味を考え、相手へのメッセージとして取り入れてみませんか?
「色の気遣い」がもたらす影響は、自分が思う以上に大きいものです。
【最初から読む】気遣いできないと評価がゼロも!?気遣いで変わる理由
元ANAのCAで4500回のフライトを経験した著者が会話や見た目などシーンごとに使える37の気遣いのコツを全5章で解説します