誰もが抱える仕事や人間関係の悩み。キャビンアテンダントでの経験から人材教育の講師に転じた三上ナナエさんは「全ては気遣いでうまくいく」と言います。そこで、三上さんの著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(すばる舎)から、自分の魅力をアップし、対人関係もスムーズにする気遣いスキルを連載でお届け。自信をつけて「相手から信頼される気遣い」を身につけてみてはいかがでしょうか。
「身だしなみ」は相手が判断するもの
マナー研修で、身だしなみの話をするとき、「自分の身だしなみを誰からチェックされても、OKをもらえる自信がありますか?」と受講生に問いかけます。
これまで、何千人に同じことを聞いてきましたが、手を挙げる人は一人もいませんでした。
実は、この問いかけ、手が挙がらないことが大事です。
なぜなら、身だしなみは「相手が判断するもの」だからです。
おしゃれは、自分で〇×をつけられます。
自分が好きか嫌いかで考えればいいからです。
でも、自分では〇×がつけられないのが、身だしなみです。
ただ、相手はめったなことがない限り「身だしなみが悪い」とは言ってくれません。
おかしいなと思っていても、口には出さず心の中で思っているだけなのです。
ですから、自分で気に留めて注意するしかないのです。
ある経営者の方がこんな話をしてくれました。
「僕は、初対面の人の身だしなみチェックをついしてしまいます。細部にこだわっている人は、仕事もこだわっている人が多い気がするからです。逆に、こだわらない人はどこか裏で手を抜くんじゃないか、客観的に自分を見ることができないから視野が狭いんじゃないかって、勝手に想像しちゃうんですよね」と。
必ずしも「身だしなみが整っている=仕事ができる」とは限りません。
しかしこの経営者ほどではないにしても、身だしなみから、その人となりを判断している人は結構多いものなのです。
注意したい3つのポイント
「見た目で判断してはいけない」という言葉は、裏を返せば見た目で判断する人が多いからこそよく言われる言葉です。
「仕事ぶりを見てください!」と思っていても、身だしなみがきちんとしていなければ、その機会すら与えられない、選ばれない、重要な仕事を任せてもらえない、そんなこともたくさんあります。
ビジネスシーンにおける身だしなみのポイントは3つです。
・清潔感はあるか
・違和感がないか
・機能的であるか
「清潔感」では、特に「先端」に注意しましょう。
爪や靴などの先端に、人は目がいきやすいのです。
つい見逃しがちだからこそ、この部分が整っていると印象が断然よくなります。
また、見た目はもちろんですが「臭いケア」も重要です。
最近は、タバコを吸える場所が少ないので、ちょっとしたタバコの臭いに敏感になっている人は多いはず。
人に会う前にタバコを吸う場合は、十分注意したほうがいいでしょう。
今はさまざまなケア用品が充実しているので、カバンに忍ばせておくと役立ちます。
「違和感がない」というのは、特に初対面のとき、相手にスムーズに受け入れてもらうために、とても重要なキーワードです。
違和感をなくして営業成績を上げた郵便局員がいます。
とある郵便局で働くAさんは、郵便局が扱う金融商品の営業を担当していました。
Aさんは、気がきくし、お客様への説明もわかりやすい。
しかし、なかなか営業成績を上げることができませんでした。
伸び悩んだ末、「郵便局員として違和感のあるツンツン立てた髪型を変えてみたらどうか」という同僚からの指摘を受け入れ、早速髪型を変えてみたところ、営業成績が3カ月後に1.5倍になったそうです。
髪型は、顔のまわりを覆うため、印象を大きく左右するもの。
郵便局員として安心感を与える違和感のない見た目が、大事だったのかもしれません。
「機能的」とは、仕事をする上で支障がない状態のことです。
しゃがむと背中や胸元が見えるような服を着ていないか?
ミュールやサンダルなど、歩きにくい靴を履いていないか?
座りジワができやすい麻などの素材を選んでいないか?
仕事や職場によって、ふさわしい身だしなみはそれぞれ。
その場に合った機能性を持ちあわせているか、ぜひチェックしてみてください。
身だしなみにこだわりがないばかりに、最初から手を抜いている印象に映ってしまうのはもったいないこと。
身だしなみは、相手に安心感、信頼感を与える大きな気遣いです。
ぜひ今一度、3つの視点でチェックしてみてください。
【最初から読む】気遣いできないと評価がゼロも!?気遣いで変わる理由
元ANAのCAで4500回のフライトを経験した著者が会話や見た目などシーンごとに使える37の気遣いのコツを全5章で解説します