眠れない、だるい...といった年齢とともに増える体の不調。「薬膳なら解消できます」と言うのは、テレビで活躍しながら国際薬膳師の顔も持つ麻木久仁子さん。そんな麻木さんの著書『生命力を足すレシピ』(文響社)から、「薬膳の基本」や疲れにくくなる「薬膳レシピ」をご紹介。今日の献立にひと工夫を。
健康の基本「消化吸収」に効く「肉野菜炒め」
ただの肉野菜炒め、と侮るなかれ。
キャベツの消化吸収力は野菜の中でもピカイチです。
じつは消化というのは、想像以上にエネルギーを使うもの。
ですから消化力が落ちると、体が疲れてしまうことに。
しかもせっかく消化しても、腸で吸収されなければ、生命力を全身に回せません。
キャベツはこの両方に効果を発揮する優秀な野菜。
体を潤す豚肉と合わせて、たっぷりとりましょう。
●基本のレシピ
【材料】
2人分
【食材】
・豚薄切り肉...100g
・キャベツ...1/4個(300g)
【調味料】
Ⓐしょうゆ...小さじ1、酒...小さじ1
・しょうが...1かけ
・太白ごま油...大さじ1
・塩...小さじ1/2
・こしょう...少々
・しょうゆ...小さじ1
【作り方】
① 豚肉を食べやすい大きさに切り、Ⓐをもみこむ。キャベツは一口大に切る。しょうがはみじん切りにする。
② フライパンに油としょうがを入れて中火にかける。
③ 香りが立ったら豚肉を入れて炒め、色が変わったらキャベツを加えてさらに炒める。
④ 塩で味を調え、こしょうをふる。しょうゆを鍋肌から回し入れる。
●春夏秋冬のアレンジレシピ
<春>そら豆と卵の炒め物
変える:
・豚薄切り肉 100g→50g
・キャベツ 1/4個→1/12個
・Ⓐしょうゆ小さじ 1→小さじ1/2
・酒小さじ 1→小さじ1/2
足す:
・そら豆 70g(正味)
・卵 2個(塩ひとつまみを入れて溶き、油で軽く炒めて取り出す)
・黒酢小さじ 1/2
そら豆は、体内の水分調節などをつかさどる「脾」という臓の働きを高め、余分な湿気を取ってくれます。
塩ゆでして皮をむきましょう。
最後にサッと黒酢を加えると、生命力を動かす力がさらに増強。
<夏>なすともやしの炒め物
変える:
・豚薄切り肉 100g→50g
・キャベツ 1/4個→なす3本(乱切りにし酢水にさらす+緑豆もやし1/2袋)
・Ⓐしょうゆ 小さじ1→小さじ1/2
・酒 小さじ1→小さじ1/2
・塩 小さじ1/2→オイスターソース大さじ1
・太白ごま油 大さじ1→大さじ2
足す:
・唐辛子 1本
なすは、体にこもった余分な熱を払ってくれます。
緑豆もやしには熱を払うとともにむくみも取る働きが。
唐辛子は、しょうがと一緒に入れて香りを出したら取り出して、最後に飾るとおしゃれ。
<秋>きのことキャベツの炒め物
変える:
・キャベツ 1/4個→1/8個
足す:
・しめじ 1パック(小房に分ける)
・椎茸 4枚(厚めの斜め薄切り)
・白ごま 大さじ1
乾燥の秋、覚えておきたいのが「白いものは潤う」ということ。
とくに白ごまは腸まで潤す力があるので、最後にたっぷりふって。
椎茸やしめじは「なんとなく元気がない」ときに生命力を補ってくれます。
キャベツと一緒に炒めましょう。
<冬>えびと春菊の炒め物
変える:
・豚薄切り肉 100g→えび6尾150g(酒小さじ1と塩小さじ1/4をもみこむ。③で色が変わったらキャベツを入れる前に取り出し、最後に戻す)
・しょうが→にんにく
・キャベツ 1/4個→ 1/6個
・しょうゆ→ナンプラー
足す:
・春菊 1/4束(5cm長さに切る)
冬は生命力を「腎」に蓄える季節。
中でもえびは、腎に直接つながる豊富な生命力があり、体を温める力にもすぐれています。春菊は食欲不振にも効き、体内の水の流れを整えてくれる働きが。
症状別や季節に合わせた70の薬膳レシピを集めた料理本。食材図鑑など薬膳の基本が身に付きます