5月は新茶の旬。最初に芽吹いた新葉から作られる新茶はうま味が強く、どの茶葉でもおいしくいただけます。今回は、日本茶ソムリエの柳本あかねさんにおいしい緑茶の入れ方のおさらいと、氷を使って簡単にできる水出し煎茶について教えてもらいました。
【前回】血流改善やストレス緩和など! 毎日飲めば健康増進効果が得られる「緑茶の効能」を解説!
新鮮でうま味が濃い
新茶を選べば間違いなし
「緑茶は日本人の暮らしに身近過ぎて、いれ方を習うこともないですよね。でも、ちょっとしたコツを知ると、もっとおいしく飲めるんですよ」と話すのは、日本茶ソムリエの柳本あかねさん。
茶道のような難しい作法はなく、茶葉の量と湯の温度に気を付けるだけで味わいが断然違うそう。
「いまなら、新茶を選ぶといいでしょう。新茶は葉がやわらかく、香りもフレッシュ。同じ木から摘み取られた茶葉でも、よりうま味が感じられます」。
農作物でもある緑茶は、産地ごとに味の違いがあり、飲み比べるのも楽しいもの。
「九州の茶葉はうま味があってまろやか、静岡は苦味が強めなど、ていねいにいれると特徴がよく分かります。いろいろな銘柄を試して、好みの茶葉を見つけてみて」
煎茶も玉露も緑茶の一つ
緑茶は摘んだ葉を蒸して乾燥させたもので、摘み取り時期や品質によって味わいが変わります。大きく分けると煎茶と玉露があり、違いは栽培法。玉露は、葉を摘む20日ほど前から覆いをかけて育てられたもので、緑色が濃く、葉もやわらか。価格も高価です。
新茶は5月が旬
最初に芽吹いた新葉から作られるお茶で、一番茶とも呼ばれます。出回る時期は、産地により前後しますが、5月上旬ごろ(玉露は下旬)から。葉がやわらかく、うま味が強いので、どの茶葉でいただいてもおいしく飲めます。鮮度が大切なので、早めに飲みましょう。
100g1000円くらいを目安に
100g500円から2000円くらいまで、煎茶の価格はまさにピンキリですが、ふだん用にも来客用にも手頃なのは1000円前後のもの。少し高く感じるかもしれませんが、何煎もいれられるのでむしろ経済的です。安い茶葉ならたっぷり使い、やや高めの温度でいれ、一煎だけで飲み切って。
茶葉は野菜と同じ。扱いと保存のコツ
生の葉を摘んだ緑茶は、乾燥野菜のようなもの。未開封でも劣化が進むので、100g単位で購入し、できれば1カ月以内に消費しましょう。湿気に弱いので、密閉できる茶缶に入れ、日の当たらない場所に置きます。茶缶に入れない場合は冷蔵室で保管して。
煎茶をおいしくいれるコツは
茶葉はたっぷり湯は低温で
「うま味」「苦味」「渋味」の3つの味が楽しめる緑茶。
1煎めではぬるめの湯でうま味、2煎めはやや熱い湯でうま味と渋味を楽しみ、3煎めは苦味と渋味を味わいましょう。
(1)沸騰した湯を湯ざましに移す
沸騰した湯を湯ざまし(または湯のみ)に移し、3分ほどおいて(暑い日は長め、寒い日は短め)70度ほどに下げます。
(2)茶葉をはかって急須に入れる
1人分は5~6g(約小さじ2)、コンビニなどでもらう大きめのプラスプーン1杯分が目安。2人分なら1.5 倍、3人分は2倍量に。
(3)湯を入れて1分蒸らす
湯ざましの底が温まったら、急須に約60ml(1人分)、飲み切る分だけ注ぎます。葉に湯がかからないように周囲から注いで。
(4)その間に湯のみを温める
飲み口の縁までしっかり湯を注いで温めておきます。湯のみが温かくなったら湯を捨てて。
(5)最後の1滴まできっちり注ぐ
茶葉が少し開いたら、急須をゆっくり傾けて湯のみに注ぎます。最後の1滴にうま味があるので、急須に残らないように注ぎ切って。湯を残すと苦味が出るので注意。
《2煎め、3煎めは湯の温度を上げて》
茶葉が蒸れないように急須のふたを少しずらしておき、湯ざましに入れた湯をすぐに急須に入れて注ぎます。3煎めは湯ざましに入れず、90度くらいの熱めの湯を注ぎます。
簡単に作れます
とろけるうま味!「水出し煎茶」
緑茶のうま味がいちばん感じられるのは、実はこの冷煎茶。1人分の茶葉(約5~6g)を入れた急須に大きめの氷を入れ、小ぶりのコップ8分目ほどの水を注いで5分おくだけ。暑い季節に絶品です。
監修/柳本あかね 取材・文/坂本典子、佐藤由香(シェルト*ゴ) 撮影/吉田篤史 イラスト/佐藤 繁