『弱者男性1500万人時代』 (トイアンナ/扶桑社 )第5回【全5回】
「弱者男性」という言葉を知っていますか? いまや日本人の8人に1人が該当するというこの言葉は、インターネットの世界から生まれた「独身・貧困・障害」などの「弱者になる要素」を備えた男性のことを指します。 弱者男性は偏見にさらされることが多いうえに、弱者男性から抜け出すことも困難と言われています。弱者男性を取り巻く環境の「リアル」とはどのようなものなのか? ライター・経営者のトイアンナ氏の著作『弱者男性1500万人時代』から、その実態を見ていきましょう。
※本記事はトイアンナ著の書籍『弱者男性1500万人時代』(扶桑社)から一部抜粋・編集しました。
女性の社会進出と弱者男性に関係はあるか
働き方改革を通じ、女性の労働者数は増えた。ただ、その実態を見ると、フルタイムで働く女性の数は横ばいである。内閣府男女共同参画局がまとめた「結婚と家族をめぐる基礎データ」を見てみると、妻がフルタイムで働く世帯は昭和60年には462万世帯であったのが、令和2年には483万世帯まで微増している程度である。実際には、妻がパートとして週35時間未満の範囲で勤務している世帯数が約3倍にまで伸びているのだ。
「働く女性が増えた」と聞いてイメージするのは、オフィスで活躍する女性の姿かもしれない。しかし、実態はパート・アルバイトといった非正規雇用の女性が増えたにすぎない。
そのため、女性が男性から奪っているのは正社員、そして管理職相当の椅子ではない。むしろ、非正規雇用の仕事において、男性のパイを奪っている可能性がある。そうなると、つまりは弱者男性の雇用を減らしていると言い換えられるかもしれない。もっとも、女性から見れば「これまで男性が占拠してきた場所へ、初めて平等なチケットを手に入れた」といえるのではないだろうか。