『弱者男性1500万人時代』 (トイアンナ/扶桑社 )第4回【全5回】
「弱者男性」という言葉を知っていますか? いまや日本人の8人に1人が該当するというこの言葉は、インターネットの世界から生まれた「独身・貧困・障害」などの「弱者になる要素」を備えた男性のことを指します。 弱者男性は偏見にさらされることが多いうえに、弱者男性から抜け出すことも困難と言われています。弱者男性を取り巻く環境の「リアル」とはどのようなものなのか? ライター・経営者のトイアンナ氏の著作『弱者男性1500万人時代』から、その実態を見ていきましょう。
※本記事はトイアンナ著の書籍『弱者男性1500万人時代』(扶桑社)から一部抜粋・編集しました。
よく男性が同性だけのコミュニティをつくり、「仲間である俺ら」で結束した結果、女性をバカにしたり、権力を独占したりする現象がある。恋愛などは私的なものであるため女性や同性愛も否定され、男性同士の友情をよしとする。たとえば昭和時代の喫煙所や宴会芸のある飲み会、週末のゴルフなどを想像していただければわかりやすいだろう。このように女性蔑視(ミソジニー)や同性愛嫌悪(ホモフォビア)といった考えのもとで生まれた、男性同士の深い結びつきや絆を「ホモソーシャル」と呼ぶ。ホモソーシャルな場では男性が公的な立ち位置を占め、社会を独占しようとする。
これまでホモソーシャルな場で業務時間外に重要な決定が下されることが、女性を排除する差別的な行動として批判されてきた。しかし、この「ホモソーシャル」に入れるのは強者男性だけである。典型的なホモソーシャルの場は体育会系の部活動、会社のイベント、上司や先輩との飲み会、そしてキャバクラなど、基本的に女性が客として想定されていない場所がほとんどだ。こうした場所で楽しく同性と交流できる男性が「弱者男性」といえるのだろうか。