弱者男性は男性社会のどこにいる? 女性への「差別的行動」や「ミソジニー的考え」が発生する場所とは

弱者男性の立ち位置とは

とても絶望的な話だが、弱者男性には異性だけに限らず同性の友人も少ない。他者と交流するための交際費を払う余裕がなく、またコミュニケーションスキルも低いからだ。そんなかれらが、「おい、男ばっかりで飲んでてむさ苦しいから、誰か女呼べよ」と、女性をモノのように接待役として扱うホモソーシャルの場に参加できるとは到底考えられない。

それよりも、ミソジニーの考え方にハマるのは「より若い男性」であることが、海外の研究で明らかになっている。男女平等へ向けた施策が急ピッチに進められていくなかで、若い男性であればあるほど、女性と比較して「自分の地位を脅かされるのではないか」と怯える。そして、自分が失職したり、正規職を得られなかったりするのは女性のせいだと考えやすくなるのだ。つまり、ある程度何か失うものを持っている男性ほど、女性を憎むのであって、もともと失うものが少ない人は女性を憎みづらい。そして、弱者男性は「持ち物が少ない人」である。そのためか、一方的に「女性が悪い」とはならないのであろう。

「それもこれも女が悪い」神話

弱者男性を自認する人を対象とした『SPA!』の調査によれば、自分が弱者に追いやられた原因は「自分自身」にあると、なんと75%もの男性が答えている。

対して、「女性」のせいだと答えた男性はわずか3.6%にすぎない。実際のアンケート結果では、大半の弱者男性が自分自身を責めているのだ。SNSで女性差別的な言動を見かけてうんざりしている方は、その多くが「弱者男性ではない」ことを理解するべきだろう。「モテない貧乏なやつが女を叩いているのだ」という思想こそが、弱者男性差別である。

 

トイアンナ
ライター・経営者。慶應義塾大学を卒業後、P&G ジャパンとLVMHグループにてマーケティングを担当。同時期にブログが最大月50 万PVを記録し、2015 年に独立。主にキャリアや恋愛について執筆。書籍『就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定』(KADOKAWA)、『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』(イースト・プレス)、『ハピネスエンディング株式会社』(小学館)など。これまで5000 人以上の悩み相談を聞き、弱者男性に関しても記事を寄稿。

※本記事はトイアンナ著の書籍『弱者男性1500万人時代』(扶桑社)から一部抜粋・編集しました。

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