社交ダンスのドレス作りなんてやったことないけど、ずっとやってきた服作りで身につけた、自分なりのテクニックを使って自作するしかない!
「もう、これしか方法はない!」と思ったら、一気に頭の中が「ドレス作り脳」になりました。
それからは、ダンス雑誌を穴のあくほど見て、デザインを研究。ドレスのお店に行って、並んでいるドレスを手に取って、作り方の参考にもしました。
見よう見まねで作った赤のロングのラテンドレスを着て、先生とフェスティバルで踊ったら、これがもう大好評。
自分でも大満足の出来栄えでした。
このドレスを見たプロの先生から、すぐにオーダーが入りました。
当時は東京まで行ってドレスのオーダーをしていた時代。
名古屋で活動する先生が名古屋在住の私に託してくれたのでしょうね。
「作ります」なんて気軽に引き受けましたが、家には古い家庭用のミシンしかない、材料を仕入れる専門店も知らない、仮縫い用のボディーもない、型紙がないからどうしたらいいのかわからない、のないないづくし。
そんな状況でよく引き受けたなぁと、今思い出すと冷や汗が出ます。
でも、家計が苦しかったから「これはチャンス」と藁をもつかむ思いでした。
大好きな服作りでお金を得られることもうれしくて楽しくて仕方がありませんでしたね。
「ない」ことだらけからのスタートでしたが、それを理由に「できない」とは言いたくありませんでした。
だから、「できない」を「できる」にするために、知恵をしぼり、工夫を重ね......。
もしも、全部持っていて、何不自由なく作ることができたら、どうなっていたんでしょうねぇ。
ここまで頑張れなかったかもしれません。
「ない」があったから、私は頑張れたとつくづく思います。