ひどい手指の痛み...もしかして「ヘバーデン結節」かも? 痛みを和らげる方法をチェック

痛みをやわらげることがへバーデン結節治療の第一歩

山本さん「先生は先ほど治療法が確立していないっておっしゃいましたが、へバーデン結節外来では、どのような治療ができるのでしょう」

富永先生「ペインクリニックでの治療は、まず痛みをやわらげるということから始まります。痛いと感じる部分の周りは"痛みを伝える物質"がたくさん出ているために、筋肉や関節が硬くなり、血管が縮こまってしまっています。痛ければ当然動かすこともできませんから、どんどん硬く拘縮(関節が固まって動きが悪くなる)していきます。するとまた血流が悪くなって痛みが増す......という負の連鎖に陥ってしまうのです」

山本さん「はい。仕事なので仕方なく、痛いのを我慢して動かしているだけで、とても自分から動かそうなんて思えません」

富永先生「でもつらい痛みがなくなれば、自然と手指が動かしやすくなりますよね。動かすことができれば、徐々に筋肉や血管の緊張がほぐれていきます。すると血液の流れや神経の機能が改善されて、だんだん患部の状態が回復してくるんです」

山本さん「なるほど......」

富永先生「血流がよくなると、栄養や酸素が指先にまで行き渡るようになって、筋肉や組織が柔らかくなってきます。そうなると自然に『指を動かしてみようかな』という気持ちになってくるんです。そして動かすことが指のリハビリにつながって、どんどんいい方向への連鎖に変わっていくのです」

山本さん「そうか。痛みがやわらげば動かせるようになるんですね!」

痛みをコントロールするセルフケア=10秒神経マッサージ

富永先生「痛みをやわらげるために、外来では神経ブロック注射などを行います。でもクリニックに来なくても自宅で行えて、自分で痛みをコントロールできる方法はないか、と試行錯誤の末に考案したのが、10秒神経マッサージなんです。うちの外来にいらっしゃる患者さんには、ご自宅で毎日朝晩の2回、実践していただくように指導しています」

山本さん「やり方は難しくないですか? 面倒くさがりな私にもできるかしら......」

富永先生「"いつでも、どこでも、誰でもできるセルフケア"にこだわって作ったので、とても簡単です。使うのは自分の爪だけ。7種類ありますが、1ヶ所が10秒なので、痛みの出ている手に全部やっても所要時間は4分程度です」

山本さん「神経マッサージというと、ツボ押しみたいなものですか?」

富永先生「刺激が伝わりやすい体の表面から浅い部分で、神経と血管が並走しているところを"神経ポイント"と名付け、そこを爪を使って細かく刺激していきます。西洋医学と東洋医学、スポーツ医学、運動療法やマッサージ療法、整体......。私のこれまでの知識や経験の集大成が生んだマッサージです」

山本さん「先生オリジナルのマッサージなんですね。でも私はクリニックに通えるところに住んでいるからいいけれど、遠くて外来に来られない人は、なんだか気の毒です」

富永先生「それこそ私がこの10秒神経マッサージを考案した理由なんです!」

誰でも簡単に実践できるように、専門医が考案したマッサージ

山本さん「それって、どういうことですか?」

富永先生「日本にも手指の病気を専門にしている整形外科医はいますが、大都市などを中心に少数です。住んでいる場所によって、そういう病院に通うことが難しい患者さんのほうが多いでしょう」

山本さん「確かにそうですね」

富永先生「私は、どこに住んでいようと、どんな状況にあろうと、すべての患者さんの苦しみを取り除いてあげたいという一心で、このマッサージを考えたんです。残念ながら変形してしまった指は元には戻りません。しかし専門医にかかることができなくても、この本に紹介したマッサージを実践すれば、誰でも、手指の痛みは自分でコントロールすることができるのです。これは多くの患者さんが証明してきた事実です」 

山本さん「そうか。クリニックに来るのは難しい場合でも、やり方さえわかれば、マッサージは自宅で行うことができますものね」

富永先生「それにへバーデン結節は、見た目である程度の症状がわかるので、オンライン診療に向いています。実際、日本全国からオンライン診療富永ペインクリニックを受診される患者さんもたくさんいます。こういうシステムも利用していただいて、痛みを我慢したりあきらめることなく、思い通りの人生を取り戻してほしいと思っています」

山本さん「なるほど! 実は九州に住んでいる叔母が、手指が痛いと言って長いこと悩んでいるんです。早速オンライン診療を受けてみるように言ってみます」

 
※この記事は『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』(富永喜代/KADOKAWA)からの抜粋です。

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