少ないお金でも、工夫次第で人生は充実する! そんなライフスタイルが人気を集めるブロガー、インスタグラマー、ユーチューバー7人7様の暮らしぶりをまとめた『ひとり暮らし月15万円以下で 毎日楽しく暮らす』(すばる舎)から、40代と60代ひとり暮らし女性の上手に生きるアイデアをご紹介します。
【前回】46歳でマンション購入。ひとり暮らしと住宅ローン(ショコラ65歳)/ひとり暮らし月15万円以下
【最初から読む】離婚して正解。20年以上のシングル生活で思うこと
営業職をしていた頃の手帳。びっしり訪問の予定が入り、仕事仕事の毎日でした。今でも捨てられない思い出の品です。
ショコラ
年齢:65歳
居住地:都内
仕事:パート
ひとり暮らし歴:23年
1ヵ月の支出:12万円
40代で離婚。定年まであと少しの57歳のとき、正社員だった営業職を辞め、パート勤務に。年金の出る今も月12万円生活を続ける。工夫して楽しく暮らすシニア生活を綴った『58歳から日々を大切に小さく暮らす』(すばる舎刊)はベストセラーに。ブログは月間60万PV。
定年前に、正社員からパート勤務へ転職。
先々の計画を練り、貯金を十分つくってから
パート勤めになる前の仕事は、化粧品メーカーの営業職でした。
ドラッグストアなどに商品を卸している会社でした。
店舗を回って営業し、商品の陳列を行うのが仕事です。
本社は関西にあり、関東にも進出するということで、開所したばかりの東京営業所に雇われたのでした。
最初は契約社員でしたが、2年後に正社員に。
結果を出した分だけお給料が上がる、実力主義の会社でした。
仕事はとても楽しく、また向いていたのか、ありがたいことにチーフに昇進。
最終的には所長になりました。
けれども、好きだったのは営業の仕事で、所員の数字を預かる所長の仕事はまったく向いていなかった......。
現場に出られずストレスがたまり、責任も重く、つらくて耐えられなくなりました。
結局、1年ちょっとで所長の立場から下ろしてもらい、一所員に戻りました。
それが56歳の頃です。
後任に関西本社から新しい所長が来ましたが、その人とそりが合わず......。
部下が前所長というのも、相手もさぞかしやりづらかったことでしょう。
一営業職に戻っても、以前のように楽しく仕事ができない。
そのストレスや所長時代のストレスが原因か、半年経ったとき帯状疱疹になってしまいました。
ちょうどローンを完済して無借金となり、肩の荷が下りた頃でした。
会社を辞めたいという気持ちがわいてきます。
辞めた後、暮らしていけるのか......。
いろいろシミュレーションした結果、なんとかいけるという結論が出ました。
もともと、贅沢な暮らしはしていませんでした。
40代のときは、ボーナスは繰り上げ返済と息子2人の大学の学費にあてており、自分で使ったことはないくらい。
そうした出費も一段落し、老後に向けて貯金に力を入れ始めていました。
生活費も、来たる年金生活に照準を合わせて、すでに月12万円でやりくりするようになっていました。
この部屋を購入した18年前に友人が贈ってくれたユッカの樹。今では倍以上の大きさになりました。鉢は昨年の誕生日に、自分へのプレゼントで購入したものです。
とはいえ、定年まであと3年ほどです。
言葉は悪いですが、ちょっと我慢して勤め上げれば、満額の退職金が出るのです。
途中退職したときの退職金は、定年時の半分です。
また、正社員として働けば年金保険料を払い続けるわけで、年金の額も変わってきます。
それでも退職を決意するほど、心身共に限界に達していたのです。
再就職するなら50代のほうが有利だろうという計算もありました。
60歳で定年退職しても、年金が満額出る65歳までの5年間は、何らかの形で働き続ける必要があります(会社に再雇用制度はありませんでした)。
けれども、60歳での求人はとても少ないのです。
50代後半なら、まだそれなりの数の求人があり、選ぶこともできそうでした。
退職を決意してからは、これまで以上に貯蓄に励みました。
退職後と老後の生活を考え、これだけ貯めれば辞めてもいいだろうという額を設定。
退職金も見込んで貯め、退職に至りました。
57歳でした。
北欧家具のライティングビューローの上にあるのは、同じく北欧デザインのヤコブソン・ランプ。パイン材で元々は白木でしたが、4年の間にビューローになじむ飴色になってきました。
再就職先はパート勤務で探しました。
そもそも50代で正社員の求人は少ないということもありますが、すでに生活費は月12万円に抑えており、それだけ稼げればいいのです。
前職の長時間労働、正社員としての責任の重さに疲れきってもいました。
幸いにも、すぐに勤務先が決まりました。
パートとは言っても、週5日・9時5時のフルタイム勤務。
自宅からは電車で数駅、通勤時間は30分です。
実際に働き始めてからは......正直に言って、最初の半年は前職を辞めたことを後悔していました(笑)。
ずっと正社員で働き、それなりの稼ぎがあったので、「こんなにお給料が少ないのか......」と愕然としたものです。
枕元に置いているライトはビーカンパニーのもの。この明かりのもとでする夜の読書タイムは、大切な時間です。
寝室の天井照明もビーカンパニーのもの。ガラス製です。切り子のような柄なので、ともすと天井や床に柄が映ります。
また、当初の時給は950円で、フルタイムで働いても月の手取りが12万円に届かず、約10万円だったことも後悔した理由です。
足りない分は退職金をあてていたのは、先にも書いたとおりです。
でも、2年後に会社の合併により、現在の職場に異動しました。
その結果、時給が上がり、手取り12万円に届くようになりました。
また、60歳からは企業年金基金が月5万円出るようになり、家計に余裕が生まれました。
でも、生活費を上げることはなく、この5万円は「予備費」として普段は使わず、突発的な出費にあてるようにしています。
正社員時代、老後のために貯めたお金には手をつけていません。
退職金も、半分は老後資金に回し、残りもまだ少しあります。
撮影/上岡エマ
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