話しかけても反応がない夫と、どう暮らしていけばいいのか――。アスペルガー症候群のパートナーと結婚し、家庭を築いていく難しさから次第にうつ状態(カサンドラ症候群)となったシニア産業カウンセラーの真行結子さん。自身の体験から、「自分らしい夫婦の形を実現させることが大切」だと気づかされました。そんな真行さんの著書『私の夫は発達障害?』(すばる舎)から、いい夫婦関係を保つヒントを連載形式でお届けします。
同じように悩んでいる人がこんなにもいるなんて・・・
発達障害やカサンドラ症候群について、昨今、認知度が広まってきたことに伴い、「もしかしたら夫は発達障害で、私はカサンドラかもしれない」と感じる妻が増えているように感じます。
私が代表を務めるカサンドラ支援団体への問い合わせも年々増加しています。
当団体の企画の一つ、セルフへルプグループへ初めて参加されたほとんどの方が「同じように悩んでいる人がこんなにも多くいることに驚くと同時に、今まで誰にもわかってもらえなかった悩みを分かち合えて、気持ちがラクになった」「もっと早くミーティングに参加していたら、ここまで体調が悪化することはなかったかもしれない」とおっしゃいます。
カサンドラ症候群を深刻化させる主な原因の一つに、その名前の由来にもなった「周囲から理解されにくい」状況が挙げられます。
カサンドラ症候群とは、夫と妻の「関係性」の悩みであり、「問題」は主に、家庭内で起こり、家庭外の人からは見えづらかったりします。
しかも、夫が家庭外では大きな問題を起こさず職業生活を送っていたり、家庭外と家庭内での振る舞いが大きく違う場合などは、なおさら他人にはわかりづらいのです。
共感を得て、孤立から解放されましょう!
理解者がいないという状況は、悩める者にとっては、とても過酷なものです。
ただでさえ孤軍奮闘している妻が、必要なサポートを得られずさらに消耗する......。
夫との関係や家庭生活がうまくいかないのは自分のせいであると自責の念を強め、自己肯定感が低下するなどの結果、孤立化し、ますますカサンドラ症候群が重篤化していくのです。
悩みや苦しみを話し、経験や情報を分かち合える場所が、あなたがお住まいの地域にもあるかもしれません。
興味をお持ちの方は、インターネットで「カサンドラ」「自助会」と検索してみてください。
その場所には、否定されることがない共感にあふれた時間のなかで、孤立から解放され、自己肯定感を取り戻し、生き方や問題解決のヒントを得ることで、カサンドラ症候群からの回復の道のりを歩んでいる仲間がたくさんいます。
周囲に理解者がいない、同じ悩みを抱えている人と語り合いたい方は、セルフヘルプグループに足を運んでみてはいかがでしょうか。
【最初から読む】「私がおかしいの?」二十数年間の結婚生活の中で穏やかな夫にストレスを感じた理由
カサンドラ症候群から回復するまでの同居・別居・離婚の3ケースを全5章が紹介されています