「屋台」よりも「普通の居酒屋」。プロの旅人が実践する「一人旅の食事」の楽しみ方

もうすぐ2020年。新しい年を迎えると、何か新しいことを始めたくなりますよね? そこでおすすめしたいのが、大人ならではの「一人旅」。好きなときに、行きたい場所へ、食べたいものを、一人で楽しむ。逆に言えば、とにかく「やりたくないことはやらなくていいという究極の自由さが魅力」だと人気旅行作家・吉田友和さんは言います。そこで、吉田さんの著書『泣かない一人旅』(ワニブックス)から、初めてでもできる「一人旅の楽しみ方とコツ」のエッセンスを連載形式でお届け。2020年は一人で大人の旅に出てみませんか?

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遠慮せずに食べたいものを食べるべし

一人だと、食事の際に誰かと料理をシェアすることはできない。

あれもこれも食べたいと思っても、自分の胃袋の大きさには限りがあるわけで、そんなに数多くの種類を注文できないのだ。

これは一人旅の弱点の一つといえるだろう。

とはいえ、食べたいものを我慢するのも癪だから、どうしてもという場合には割り切って多めに頼むこともある。

食べきれなかったら、残せばいい──と覚悟の上なのだが、そうまでして注文する料理は大抵は絶品だから、残すのが惜しくて結局完食してしまうのもよくあるパターン。

中には、こちらが一人なのを見て、一人前の分量にしてくれる気の利いた店もある。

メニューには「二人前から」などと書かれていても、店の人に相談してみると案外対応してくれるものだ。

そもそも、一人だと挑戦しにくい種類の料理は存在する。

たとえば、鍋料理はその筆頭だろう。みんなでワイワイ囲みながら味わうイメージが強いのだが、これまた遠慮せずに一人でも果敢に挑めばいい。

博多に昔から行きつけのもつ鍋屋があるのだが、最近オープンした支店では一人向けのカウンター席が新たに設けられていて感激した。

そういえば、「一人焼き肉」などは近頃は専門店なんかもあったりして市民権を得ている。

鍋にしろ、焼き肉にしろ、一人だと気後れしがちなのは正直なところだが、端から多人数向けと決めつけず、一人にも対応している店がないか探す価値はある。

美味しい店はどうやって探す?

旅先での飲食店の探し方としては、自分はこれまたグーグルマップを活用している。

「ラーメン」「寿司」「居酒屋」などをキーワードに検索すると、周辺の店が一発で表示される。

地図上で見られるので、そこまでの距離や行き方も一目瞭然だ。ホテルを探すときとまったく同じ感覚である。

関連記事:一人旅に最適なホテルの探し方「広いけど古い」か「狭いけど新しい」どっちがいい?

普段東京にいるときは「食べログ」などもよく利用しているが、旅行中は正直あまり役に立たないというのが率直な感想だ。

地方へ行けば行くほど、ネットのクチコミサイトは使えなくなる。ユーザーが少ないのか、情報量が乏しくて比較しようがないのだ。

情報が出てきたとしても、書き込んでいるのが都市部からの旅行者や出張者だったりして、観光客目線の投稿ばかりなのも残念な点。

もちろん、ネットではなく、リアルで情報収集するのも有効だ。

手っ取り早いのはタクシーの運転手さんや、宿泊するホテルのスタッフなどに聞いてみる方法だろうか。その街で評判のいい店は、地元の人に教えてもらうのが確実である。

観光地で食事をする際には、極度に観光客向けと思しき店は避けるようにしている。

場所柄、多少は仕方ないが、中には露骨にボッタクリ価格なところも存在する。

とくに要注意なのが、「横丁」「屋台」を売りにしたようなスポット。

言葉からは庶民的な内容を想像するものの、地元の人たちが日常的に通う、昔ながらの横丁や屋台ではなく、あくまでも観光施設の一種として営業しているようなところ。

ハッキリ言って、いい思い出はない。

簡素な佇まいのスペースで、出てくる料理もパッとしない。にもかかわらず値段だけは一丁前。

全部の店がダメというわけではなく、あくまでもそういう傾向があるという話ではあるが、個人的にはあまりオススメしない。

むしろ、ごく普通の居酒屋の方が満足度は高かったりする。

初めての土地で一見さんで入店するのは最初は勇気がいるが、飲んでいるうちに馴染んでくるものだ。

カウンター席でちびちび飲んでいたら、隣の席のお客さんと意気投合したり、なんて心温まるエピソードも実際に珍しくない。

「これ、よかったら食べませんか?」

頼んだつまみが一人では食べきれない量だったので、隣の人にお裾分けしてみたら、それをきっかけに話が盛り上がったこともある。

お酒に関していえば、何気に重要なのが飲み始めるタイミング。安心して飲める場所を見つけて、気持ちよく酔いたい。

旅行中ぐらいは無礼講だろうと、たまには昼間から飲むのもアリだろう。普段はやらないことをするのが旅の醍醐味である。

いくつになっても旅行は楽しい「泣かない一人旅」記事リストはこちら!

「屋台」よりも「普通の居酒屋」。プロの旅人が実践する「一人旅の食事」の楽しみ方 泣かない一人旅.jpg旅の心得や楽しみ方、交通手段や宿の探し方まで、全10章で一人旅に必要な全てを解説。一人旅でなくても、プロが旅立つ前にする下準備は、とても参考になります

 

吉田友和(よしだ・ともかず)

千葉県生まれ。旅行作家。出版社勤務を経て、2002年初海外旅行ながら夫婦で世界一周を敢行。2005年に旅行作家として本格的に活動開始。主な著書に、『はじめての世界一周』(PHP研究所)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『3日もあれば海外旅行』(光文社新書)、『東京発 半日旅』(ワニブックスPLUS新書)など。滝藤賢一主演でドラマ化された『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬舎文庫)も話題に。

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『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』

(吉田友和/ワニブックス)

「行きたいところに行ける」「料理注文で冒険できる」「やりたくないことは一切しなくていい」一人旅なら、この全てがかなう! ちょっと不安に思える「一人旅」のコツを、人気旅行作家がやさしく教えてくれる指南書です。はじめてでも失敗しない、最高に楽しい究極の大人旅へ。

※この記事は『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』(吉田友和/ワニブックス)からの抜粋です。
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