一人旅に最適なホテルの探し方「広いけど古い」か「狭いけど新しい」どっちがいい?

もうすぐ2020年。新しい年を迎えると、何か新しいことを始めたくなりますよね? そこでおすすめしたいのが、大人ならではの「一人旅」。好きなときに、行きたい場所へ、食べたいものを、一人で楽しむ。逆に言えば、とにかく「やりたくないことはやらなくていいという究極の自由さが魅力」だと人気旅行作家・吉田友和さんは言います。そこで、吉田さんの著書『泣かない一人旅』(ワニブックス)から、初めてでもできる「一人旅の楽しみ方とコツ」のエッセンスを連載形式でお届け。2020年は一人で大人の旅に出てみませんか?

一人旅に最適なホテルの探し方「広いけど古い」か「狭いけど新しい」どっちがいい? pixta_22457379_S.jpg

一人旅向けの宿とはどんなところか

ここではホテルや旅館に関して最適解を考えていく。

旅するうえで、どこに泊まるかは重要な問題だ。それこそ旅の成否を左右すると言っても大げさではない。

そもそも、一人旅向けの宿とはどんなところだろうか。カップルや友人、家族で旅行するときとは選択する基準が異なってくるはずだ。

宿を選ぶときは、自分が何を優先させるかをハッキリさせると上手くいく。

部屋なのか、お風呂なのか、食事なのか。もちろんすべてにおいて文句なしというのが理想だが、予算に限りがあるとしたら、ある程度は妥協する部分も出てくる。

具体的な例を少し挙げてみよう。

広いけど古い部屋と、狭いけど新しい部屋──仮に選択肢がこの二つだとしたら、どちらを選ぶか。

部屋の広さに関しては、予約サイトなどでも平米数が必ず明記されている。

自分なら、ずばり後者。一人旅ならば、空間自体は狭くても一向に構わない。

それよりも気になるのは機能性だ。傾向として、新しいホテルの方が総じて設備が整っており快適という印象である。

たとえば、Wi-Fi環境。僕はテレビはほとんど観ないが、ネットの動画配信サービスは旅行先でも割とよく利用する(映画やドラマ、アニメなどを観ている)。

だから、なるべく電波の繋がり具合が良好で、回線スピードが早い方がいいのだが、この点は新しいホテルの方が秀でていることが多い。

もちろん、新しいからといって必ずしも綺麗というわけではない点は補足しておきたい。

逆に、古くても丁寧に清掃しているところも沢山ある。

温泉旅館などで老舗の風格を求めるなら、あえて歴史ある宿を選ぶのもいいだろう。

Wi-Fiの使い勝手や、部屋の清潔具合などは宿の公式情報や写真で基本スペックを見ただけではわかりにくいので、利用者のクチコミをチェックするのも手だ。

とくに一人で泊まっている人の書き込みがあれば参考になる。

ホテルを選ぶ際には、旅のテーマに合わせて選ぶのも定石のひとつだ。

たとえばお祭りを観に行くなら、なるべく会場へ出やすい立地がいい。

港町など海の近くに滞在するなら、部屋からの景観は気になる。真冬に北国を旅するなら、温泉や大浴場の有無は大きな違いになる。

いずれにしろ、実際に旅するときの状況を思い浮かべながらシミュレーションしていくと失敗は少ない。

古めのシティホテルがコスパ良し

前項で書いた内容と矛盾するようだが、場合によってはあえて広くて古い部屋を選ぶこともある。

県庁所在地ではないものの、そこそこ規模の大きな地方都市に泊まるときに多い。

そういう街には、昔ながらのシティホテルが存在し、内容の割に宿泊代金が安かったりするからだ。

街のランドマーク的存在で、結婚式場を併設しているようなホテルである。イメージとしては、「なんとかグランドホテル」みたいな名前のところ。

一泊当たり四千円~六千円ぐらい。だいたい五千円前後が目安だろうか。

価格帯としてはビジネスホテル並みなのに、グレードはワンランク上のシティホテルに該当するわけで、古ささえ気にならなければ、これほどお得な宿泊先はない。

ビジネスホテルは家具や調度品が案外チープだったりするが、シティホテルになるとそれらのクオリティも見るからに上がる。

駐車場は広いし、空港やターミナル駅と市街を結ぶシャトルバスの発着場になっていることも多い。

古いホテルだけに、部屋の鍵がカード式ではなく棒に鎖で吊したタイプだったりするが、これも実は好都合だ。

カード式の部屋では、入口横のスロットにカードを入れることで電源がオンになる。外出時にカードを抜くと部屋の電源もオフになるため、電子機器を充電したい場合などは結構不便なのだ。

ほかにもカーテンが破けていたり、壁紙が剥がれていたり、なんてこともあるが、一人旅だと許容範囲は広くなる。

安く泊まれるのならそれぐらいは全然目をつぶれる。大事なのは価格と内容のバランスだ。

予約サイトではなく地図から探す

宿探しをネットで行うのが当たり前になって久しいが、具体的な検索方法などは時代に合わせて少しずつ変化してきた。

技術が進歩するにつれてウェブの使い勝手が良くなり、以前よりも確実に探しやすくなったと実感している。

同じ日付、同じ宿、部屋や食事の有無などがまったく同じ条件だったとしても、予約方法によって支払う料金は変わってくる。

当然ながら、利用者としては一円でも安く泊まりたいわけで、複数の予約サイトを比較検討するのはもはやセオリーといえる。

自分の場合、これまで最も利用頻度が高かったのは「じゃらんnet」と「楽天トラベル」だ。いずれも国内最大手のホテル予約サイトだから、説明は不要だろう。

次点として「Yahoo!トラベル」あたりもたまに利用したが、大半の予約は二大サイトで済ませてきた。

継続利用しているとポイントがたまるからという理由もあるが、なんだかんだいって大手だけに安心で、取り扱う宿の数が多い点も魅力だった。

ところが、それも過去の話になりつつある。

近頃は別の方法で宿を予約することが増えてきたのだ。これは、そもそもの宿の検索の仕方が変わったせいだ。

最近はどのようにして宿を探しているのかというと、使用するのは主にグーグルマップだ。

行き先周辺の地図を開き、「ホテル」というキーワードで検索する。

すると、検索窓の下に日付や人数などを入力する欄が現れ、地図上に空室のある宿を表示できる。予約サイトではなく、地図から直接検索するというわけだ。

宿を選ぶ際に自分が最優先させる条件は、ずばり立地である。

都市部であればターミナル駅や繁華街に近いところ、田舎でもお目当ての観光地などに移動しやすいところ。

どんなに素敵な宿でも、アクセスが不便な場所だと躊躇してしまう。

とくに一人旅のときはなるべく身軽に動き回りたいので、旅の拠点として効率の良さそうなところにあるかどうかは重要なポイントとなる。

立地重視で宿探しをしたい者としては、地図上から検索できるのは非常に便利だ。その宿がどこにあるのかが一目瞭然なのだ。

外観や部屋などの写真も見られるし、ストリートビューで周辺の雰囲気も事前に確認できる。

宿の公式サイトへのリンクも張られているし、書き込まれたクチコミ情報も参考になる。

肝心の料金に関しても、システムが複数の予約サイトから自動的に調べてくれるので簡単に比較検討できる。

その宿を予約するうえで最安値がどこなのかを教えてくれるわけだ。リンクをクリックすれば、該当するサイトでそのまま予約まで行える。

地図から泊まる場所を選ぶと、実際に旅するときの情景をイメージしやすい。

少なくとも現状では、自分にとってベストな宿探しのツールになっている。

いくつになっても旅行は楽しい「泣かない一人旅」記事リストはこちら!

一人旅に最適なホテルの探し方「広いけど古い」か「狭いけど新しい」どっちがいい? 泣かない一人旅.jpg旅の心得や楽しみ方、交通手段や宿の探し方まで、全10章で一人旅に必要な全てを解説。一人旅でなくても、プロが旅立つ前にする下準備は、とても参考になります

 

吉田友和(よしだ・ともかず)

千葉県生まれ。旅行作家。出版社勤務を経て、2002年初海外旅行ながら夫婦で世界一周を敢行。2005年に旅行作家として本格的に活動開始。主な著書に、『はじめての世界一周』(PHP研究所)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『3日もあれば海外旅行』(光文社新書)、『東京発 半日旅』(ワニブックスPLUS新書)など。滝藤賢一主演でドラマ化された『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬舎文庫)も話題に。

shoei.jpg

『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』

(吉田友和/ワニブックス)

「行きたいところに行ける」「料理注文で冒険できる」「やりたくないことは一切しなくていい」一人旅なら、この全てがかなう! ちょっと不安に思える「一人旅」のコツを、人気旅行作家がやさしく教えてくれる指南書です。はじめてでも失敗しない、最高に楽しい究極の大人旅へ。

※この記事は『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』(吉田友和/ワニブックス)からの抜粋です。
PAGE TOP