「学ぶなら学校へ」は思い込み。自分のペースで学べる「独学」のすすめ

「学ぶなら学校へ」は思い込み。自分のペースで学べる「独学」のすすめ pixta_33624589_S.jpg仕事も子育ても一段落。そろそろ自分のために何かを学びたい。そう考えている人、多いのではないでしょうか。そんな人への「独学」のすすめです。最新刊の『「超」独学法』が話題の野口悠紀雄さんに、お話を伺いました。

 

野口さんは、学生時代に東大工学部で応用物理を学びながら独学で経済学を習得し、英語も独学で学び、アメリカの大学に留学をした独学の達人です。

しかし多くの人は、独学は難しい、勉強をするなら学校へと考えがち。でもそれは、大きな間違いだと野口さんは言います。

「授業料を払えば何らかの見返りがあると考えがちですが、それは思い込み。学校は儲けるために経営をしているわけですから、その罠にまんまとはまる必要はないですね(笑)。私たちは学生ではないので、できあいのカリキュラムで勉強しても役に立たない。自分の都合のよい時間に勉強できないし、学校のペースに合わせて勉強をするのも非効率的です。

何かを学びたいと思ったら、いますぐ、自分のペースで始めることが大切です。それができるのが、独学の大きなメリット。例えば語学を身に付けたいなら、好きな映画のDVDを買ってきて、字幕を見ずに外国語を聞き取ることから始めればいいでしょう」

最近は、外国映画のDVDがかなり安価で手に入るようになり、インターネットを使えばYouTube(ユーチューブ。インターネットで動画を無料で見られるサービス)でさまざまな動画も見ることができます。さらに自動翻訳できるスマートフォン用のアプリケーション(必要に応じてスマートフォンに追加できるさまざまな機能のこと)などが登場し、語学の勉強は簡単で便利になったと野口さん。

「日本語の字幕は見ない方がいいのですが、外国の映画を見ながら外国語の字幕を見るのは役に立ちます。分からない単語は、スマートフォンの自動翻訳アプリで、その場で簡単に調べることができるからです。いまのスマートフォンは、音声を入れるだけで自動翻訳や検索をしてくれるので、便利です」

実は野口さんも、画期的に進歩したスマホの自動翻訳機能を使うことで、しばらく中断していたロシア語の勉強を再開することができたのだとか。

「ロシア語を勉強し始めたのは、10年ほど前。ロシアのバレリーナのインタビューを見ていて、ロシア語を理解したいと思ったことがきっかけでした。しかし、ロシア語はキリル文字なので、文字がなかなか読めない。映画の最後に、『終わり』という文字が出ますが、それすらどう発音していいのか分からない。そのため、以前にロシア語を勉強し始めたときは、ギブアップしてしまいました。

しかし、ギブアップしたのは、私の間違いでした。言葉とは、続けていれば分かってくるもの。いまは、言葉の意味が分かってきたら、スマートフォンの自動翻訳アプリに日本語で音声を入力し、ロシア語の文字と音声を確認しています。意外な発見もあり、実に楽しいです」

 

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取材・文/丸山桂子

 

 

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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)さん

1940年、東京生まれ。経済学者。東京大学工学部卒業後、64年に大蔵省入省。72年、エール大学Ph.D(経済博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。ベストセラー『「超」整理法』をはじめ、『バブルの経済学』『「産業革命以前」の未来へ』など著書多数。


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野口さんの最新刊!

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この記事は『毎日が発見』2018年9月号に掲載の情報です。

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