独学に才能は必要なし。社会人なら「独学法」で効率的な勉強を/「超」独学法

独学に才能は必要なし。社会人なら「独学法」で効率的な勉強を/「超」独学法 pixta_39184460_S.jpg人生100年時代、仕事の引退は80代、と言われるようになっている現代において、私たちに求められているのは「どれほど個人の市場価値を上げられるか」ということ。ではどうすれば個人の市場価値は上げられるのでしょうか?その答えは「独学」にありました。

本書『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』は、今日から始められる「独学」の勉強法を集めた最強の独学メソッド本。独学への不安を払しょくし、新たな可能性を見出す手がかりがここに!

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独学の勧め

本書は、独学の勧めである。
独学がどんなに素晴らしいことを実現するかを示し、そのための方法論を述べる。勉強の必要性は、多くの人が認める。ただし、勉強という場合に多くの人が思い浮かべるのは、学校での勉強だ。確かに、現代社会での勉強は、学校を中心になされている。学齢期における勉強はもちろんのこと、社会人になってから勉強をする場合にも、学校に通う人が多い。実際、資格取得などのための各種学校や、社会人教養講座が多数ある。本書では、これに対して、学齢期後の勉強については、1人で勉強を進める「独学」のほうが有効であることを指摘し、その重要性を強調したい。

社会人にとっての独学は、学校での勉強の補完物でも代替物でもない。多くの場合に、それより効率的で優れている。独学は、新しい時代の新しい勉強法だ。この方法を活用して能力を高めていく人が、これからの社会で活躍できるだろう。本書が対象と考えているのは、学校教育の課程を終了した後の社会人だ。仕事をしながら、より多くの知識とスキルを求める人である。ただし、社会人だけでなく、大学や大学院で勉強している人、あるいは大学受験のために勉強している人も、ぜひ、本書から独学の方法論を学び取っていただきたい。

 

「勉強するには学校に通う必要がある」という偏見

多くの人は、次のように信じ込んでいる(図表1-1参照)。「社会人になってから勉強する場合にも、学校に通って講義などを受けるのが本道だ」「本当は講座を受講したり、教師につくのがよいのだが、それには費用がかかるから、やむをえず独学をするのだ」こう考える理由は、「独学は難しい」という思い込みだろう。

独学に才能は必要なし。社会人なら「独学法」で効率的な勉強を/「超」独学法 gazou_01_P24.jpg教室に行けば、自動的に知識が身につく。ベルトコンベアに乗ったようなものだ。「しかし、独学ではそうはいかない」と考える。独学では、何を学ぶべきかというカリキュラムを自分で作る必要があるが、それは大変だと考える。あるいは、勉強を続ける強制力が働かないため、途中でギブアップしてしまうのではないかと、心配になる。ただし、「独学より学校がよい」という考えは、多くの場合、長所・短所を深く考えた末の結論ではない。右のことは確かに問題だが、克服できないものではない。「勉強とは、学校に通って教室に座り、先生が教えるのを聞くことだ」という、学生時代からの習慣を引きずっているだけのことが多い。これは、単なる思い込みだ。

「独学で学ぶ」という選択肢を、最初から考慮していない場合が多い。独学と教室で学ぶのとを比較し、合理的な理由で後者を選択したというのではなく、そもそも、そうした比較を行っていないのだ。よく考えて比較すれば、独学のほうがよいことが分かるはずだ。

 

独学に才能はいらない

「世の中には独学ができる人とできない人がおり、独学ができる人は、人から言われなくても独学する。それに対して、独学ができない人は、いくら独学を勧めても、その能力がないのだから、できない」「独学の方法を人に教えられるというのは、そもそも矛盾だ」。このような意見もあるだろう。しかし、この考えは間違っている。

すでに述べたように、「独学では勉強できない」というのは、単なる思い込みなのだ。そして、その考えを変えるチャンスに恵まれなかっただけのことだ。以下に述べることを参考にして、考えを変えていただきたい。本書でこれから述べるように、多くの場合において、独学は、教室で学ぶよりは効率的な勉強法なのである。

もちろん、世の中には、「勉強をする気など一切ない。短い人生なのだから、勉強などして無駄に過ごすよりは、思う存分遊びたい」という人もいるだろう。そう考えている人は、本書の対象外だ。「勉強したいが、独学はできない」と考え、「独学はできない」として教室に学びに行く人たちに対して、本書は「独学のほうがよい」とアドバイスしたい。「勉強が重要であることはよく分かるのだが、独学のやり方が分からない」という人のために本書は書かれた。

  

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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。

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『「超」独学法』

野口悠紀雄/角川新書)

AI技術により新しい働き方をする人が増えている現代は、個人に対する「市場価値」が求められる社会へと変化してきています。
この「変化の時代」に必要なスキルは、いかに効率的に「独学」できるかどうか。本書には「独学」を効率的に進めるための勉強法が具体的に多数紹介されています。変化の時代、危機をチャンスに変えるための、今日から始められる独学の最強メソッド本。

 
この記事は書籍『「超」独学法』からの抜粋です。

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