ITで独学環境は飛躍的に発展! 的を絞り深められるから独学は楽しい/「超」独学法

pixta_24679828_S.jpg人生100年時代、仕事の引退は80代、と言われるようになっている現代において、私たちに求められているのは「どれほど個人の市場価値を上げられるか」ということ。ではどうすれば個人の市場価値は上げられるのでしょうか?その答えは「独学」にありました。

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独学は受け身でなく、プルする

以下では、学校に通って講義を受けることと、独学で勉強することとの比較を行おう。まず、講義を受けることと、独学の基本的な違いは何か?講義の受講は、「プッシュ(押し出し)を受ける」ことだ。つまり、受動的な勉強法である。それに対して、独学では「自らプル(引く)する」。つまり、能動的な勉強法である。学校では、教室に入って座っていれば、こちらで何のアクションをしなくても先生が教えてくれる。そして、先生が言うことを受け入れればよい(本当はそうではなく、事前に予習をしたり、教室で質問をしたりして、能動的、積極的に参加することが必要なのだが)。

 

独学なら、必要なことを重点的に勉強できる

「独学が難しいという考えは間違っている。独学は可能である」と前の記事で述べた。それだけでなく、多くの場合において、独学は学校に通う勉強法より効率的なのだ。図表1-2にしたがって、独学と学校を比較してみよう。

独学の第1の利点は、自分の事情に合った勉強ができることである。また、個人個人の事情や要請に柔軟に対応できる。初等教育での教育内容は、誰にとっても必要なことだ。それは、簡単にいえば、「読み書きそろばん」である。いわば、社会に入るための最低必要条件だ。

しかし、社会人になってからの勉強では、学ぶべき内容や条件が人によって大きく異なる。「何をどれだけ知ればよいか」は、人によってさまざまだ。この点が、学校教育の場合と大きく違う。したがって、さまざまなことについて「広く浅く」勉強するのでなく、「知るべきことに焦点を絞って」勉強することが必要になる。独学なら、知っていることは飛ばせる。そして、必要なことをいくらでも深く勉強できる。

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例えば、仕事で使う英語は、一般的な英会話を学んでも、ほとんど意味がない。どのような仕事をやっているかによって、必要な英語は違う。ビジネスに必要な英語は、英会話学校では学べない。これを学ぶには、独学で勉強するしか方法がない。

独学は、事情が変化したときに対処できる柔軟性もある。学校に通っている場合には、一度選択したコースを変更するのは難しい。しかし独学なら、知りたいことを柔軟に変更できる。やり直しもできる。さらに、自分の都合に合った勉強ができるし、スキマ時間を活かした勉強などができるという利点もある。また、費用があまりかからないということもある(ただし、「費用がかからないから独学のほうがよい」というわけではない)。

 

独学は楽しい

独学のもう1つの大きな長所は、楽しいことだ。そもそも、われわれはなぜ勉強するのだろうか?

能力を高めるために必要だからだ。そして、勉強すれば、リターンがあるからだ。ただし、勉強する理由は、それだけではない。一番大きな理由は、勉強することが楽しいからだ。人間は、生まれたときには、ごく限定的な能力しか持っていない。人間の能力のほとんどは、後天的な勉強(学習)によって獲得する。こうした意味で、人間はきわめて特殊な動物なのだ。

人間の本質は、勉強にある。勉強こそ、人間の人間たる所以(ゆえん)だ。だから、勉強することは本能的に楽しいのだ。「勉強したい」という本能に導かれて行う独学は、大変楽しいものである。おそらく、どんなことよりも楽しいだろう。

 

ITの発展で独学の優位性が増した

インターネットが発達したことによって、独学のための条件は飛躍的に改善された。検索サービスを利用して、知りたい知識を得ることができる。英語などを勉強するための教材がウェブで簡単に手に入る。大学と同じレベルの独学コースも提供されている。さらには、自分が勉強した成果をウェブで発表したりすることもできる。

しかも、スマートフォンが発達したので、こうしたことがどこでも簡単にできるようになった。満員電車の中でも可能だ。ITの発展によって、「知識をプルする」ための条件は以前に比べて大きく改善し、知識のプルは、ずっと容易になったのである。そして技術が進歩すると、独学のための条件はさらに改善されるだろう。独学の優位性が増したのである。20年前には、独学は難しかった。あるいは、効率が悪かった。それが変わったのだ。独学は21世紀の勉強法である。

 

独学には欠点もある

ただし、独学は、よいことばかりではない。欠点もある。学校に通うこととの比較で言えば、つぎのような問題がある(図表1-2参照)。第1に、継続できないで途中でやめてしまう危険が大きい。どうすれば継続できるか。第2に、「ある目的を達成するために、何を勉強したらよいのか、どのように勉強したらよいのか」ということが必ずしも明確でない。これは、「カリキュラムを作るのが難しい」と言ってもよい。「知るべきことをどのように探し出すか」。第3に、学校のよい点は、同じ目的を持っている仲間を作れることだ。しかし、1人で勉強していると、クラスメイトや勉強仲間が作れない。独学の場合に仲間をどう作るかは、難しい問題である。

 

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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。

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『「超」独学法』

野口悠紀雄/角川新書)

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この記事は書籍『「超」独学法』からの抜粋です。

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