1日1回以上は検索するクセを! 積極的に「知ろうとする」態度が大切/「超」独学法

1日1回以上は検索するクセを! 積極的に「知ろうとする」態度が大切/「超」独学法 pixta_17090956_S.jpg人生100年時代、仕事の引退は80代、と言われるようになっている現代において、私たちに求められているのは「どれほど個人の市場価値を上げられるか」ということ。ではどうすれば個人の市場価値は上げられるのでしょうか?その答えは「独学」にありました。

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検索の前に、「何を知るべきか」をはっきりさせる

検索は、独学を進める場合のきわめて重要な道具だ。検索をうまく活用できることは、効率的に独学を進めるために不可欠だ。ただし、これは、勉強のカリキュラムを作ってから後で行う作業である。

つまり、「私が知りたいことは、一体何なのだろうか?」、あるいは、「私がすべきことは、一体何なのだろうか?」をはっきりさせてから後の作業である。それなしに検索をすれば、断片的な情報の大海に呑み込まれてしまうだろう。「何を知るべきかという方向づけを明確にすること」。これこそが、独学における最も重要な課題である。

 

検索は、まず「態度」の問題

検索というのは、第1に態度の問題であり、第2に技術の問題(検索の方法論)だ。一番重要なのは、「分からないことを検索で調べる」という態度だ。これについては、世代によってかなりの差がある。ある程度以上の世代は、若い時代に検索に接していないので、知識を得るためには、印刷物を見る、あるいは専門家に聞く、という態度をとる。本能的、自動的にそうした態度になるのだ。

それに対して、あるところより若い世代は、何か分からないことがあると、気軽にスマートフォンを引き出して、検索で調べる。いまでは、スマートフォンで、しかも音声検索で検索ができるようになったので、非常に簡単に検索ができる。だから、検索ということに馴染みがない世代であっても、「検索で調べる」という態度を身につけるべきだ。

1日に1度も検索を行うことがないというのであれば、その人の知的生活には問題がある。真剣に考え直すべきだ。外から来る情報に受け身に対応しているだけであり、自分から学ぼうとする意識がないことの反映だからだ。第1章で述べたように、検索を行うことが独学の第一歩である。

関連記事:「独学の初歩は「検索」から。新聞とSNSは知識を得る最高のツール/「超」独学法」

 

情報は自分で探し出す

世の中には、「プッシュ」されてくる情報を受けるだけの人が多くいる。これは、テレビの視聴時間が長いことに現れている。テレビは、受動的手段の典型だ。画面から流れてくる情報をただ受け入れるだけのことだ。解決したい何らかの問題のために、情報をプルする手段としてテレビを使うことは、まず不可能だろう。

日本では、一般に「検索」機能に対する意識が低い。日本の書籍に索引がないものが多いのは、書籍がプルの手段として意識されていないからだろう。アメリカでは、索引のない本は専門書とは見なされない。これは、情報を「プル」したいと考えて本を読む人が多いからだろう。

情報に対するこのような態度の差は、インターネットにも明確に現れている。インターネットを情報のプルに使うにしても、天候や株価を調べたり、レストランの場所を探したりする程度にしか使わない人が多い。もちろん、こうしたことで多くの有用な情報が手に入るが、それで終わるのでは、もったいない。

インターネットのプル機能はそれよりはるかに大きい。なお、私は、プッシュを否定しているわけではない。まず、「いま世の中で何が起きているか」を知ることは必要だ。私は、そのために、新聞の見出しを見ている(テレビのニュースでは、ニュースが出てくるまで待たなければならないし、相対的重要度を比較できないので、新聞の見出しのほうが便利だ)。

 

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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。


 

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『「超」独学法』

野口悠紀雄/角川新書)

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この記事は書籍『「超」独学法』からの抜粋です。

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