人生100年時代、仕事の引退は80代、と言われるようになっている現代において、私たちに求められているのは「どれほど個人の市場価値を上げられるか」ということ。ではどうすれば個人の市場価値は上げられるのでしょうか?その答えは「独学」にありました。
本書『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』は、今日から始められる「独学」の勉強法を集めた最強の独学メソッド本。独学への不安を払しょくし、新たな可能性を見出す手がかりがここに!
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検索では、体系を知らずに知識を得られる
検索のサービスを用いれば、知識の体系を知らなくとも知識を得ることができる。単語を知っていれば、その意味を直接に知ることができる。いわば、「下から調べることができる」。目的に直接たどり着くことができるわけだ。これは、百科事典的な方法論だ。
百科事典では、知識は体系にしたがってまとめられているのではなく、対象を50音順に並べてある。隣にある項目との、内容上の関係は、まったくない。しかし、目的の対象が分かっている場合には、直接そこにアクセスできる。体系にかかわりなく知識を得られるということは、独学者にとっては大変ありがたい点である。ただし、繰り返しになるが、独学では、知りたいことのおおよその体系を最初に把握する必要がある。そうでないと、情報の大海に溺れてしまう。
逆向き勉強法がきわめて効率的にできる
伝統的な方法で知識を得るには、学問体系にしたがって基礎知識から徐々に進み、目的の知識を獲得する。これは、「全体から部分を得る」という方法だ。これに対して、逆向き勉強法は、直接に目的の知識を学習する。その説明中に分からない事柄があれば、他の項目を参照してそれを学習する。このような方法によって学習を行うので、「部分から全体に」と言うことができる。
ところで、ウェブサイトを検索して言葉の意味を見出す場合には、知識の体系にかかわりなく、直接に目的に到達できる。さらに学びたいと思えば、より広い概念に向かって遡ることができる。これも、「部分から全体を知る」という方法だ。このように、検索を用いた勉強法は、逆向き勉強法と基本的に同じものだ。いいかえれば、逆向き勉強法を行うには、ウェブの検索が最も効率的な方法になるのだ。
私が逆向き勉強をしていた頃には、インターネットもなければ検索エンジンもなかった。その後、ITの進歩によって、百科事典で調べるのと同じことが、ごく簡単にできるようになったのである。このため、逆向き勉強法の効率性は、著しく上昇した。百科事典を用いて学習をする場合には、どうしても他の項目を参照することが必要になる。ところが、印刷物の百科事典の場合には、この作業がきわめて面倒だ。何冊もの百科事典を開く必要があり、これは物理的に大変な作業になる。ところがインターネットでは、他の項目の参照はきわめて簡単に行える。
記事によっては、重要概念にリンクを貼ってあり、それをクリックするだけで直ちに関連サイトにジャンプして、その概念に関する説明を読むことができるようになっている。これは、「ハイパーリンク」と言われる技術だ。これによって、印刷物の時代には想像もできなかったほど容易に他項目を参照できるようになった。インターネットの時代になって、逆向き勉強法がきわめて効率的にできるようになったのである。