経済規模は20兆円超え。個人で戦う「フリーランス」時代が来た!/「超」独学法

経済規模は20兆円超え。個人で戦う「フリーランス」時代が来た!/「超」独学法 pixta_37316207_S.jpg人生100年時代、仕事の引退は80代、と言われるようになっている現代において、私たちに求められているのは「どれほど個人の市場価値を上げられるか」ということ。ではどうすれば個人の市場価値は上げられるのでしょうか?その答えは「独学」にありました。

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フリーランサーの時代が来た

新しい技術の活用によって、新しい働き方が広がりつつある。ダニエル・ピンクは、『フリーエージェント社会の到来』(ダイヤモンド社、2002年)で、米国の労働人口の4分の1、約3300万人が独立自営業的な働き方を選択していると指摘した。カリフォルニア州では、就業者の3人に1人は雇用という労働形態をとっていないとした。その後、ITの進展によって組織から離れて働く条件が整い、とくにアメリカでは、フリーランサーが増えている。ダニエル・ピンクが予言した時代が、現実のものとなりつつあるのだ。

ITが進歩した結果、仕事の進め方に関する自由度が高まり、1カ所に集まって仕事をする必要性が薄れたからだ。高度の専門家について、とくにこのことが言える。こうした仕事を斡旋するためのスマートフォンのアプリもある。これまでフリーランスと言えば、農業や小売業などが主だった。最近の特徴は、それが高度な専門家に及んでいることだ。

 

10年後には、アメリカの労働者の半分以上がフリーランサーになる

アメリカにおけるフリーランサーの状況は、調査会社のエデルマン・インテリジェンスが実施した FREELANCINGINAMERICA:2017 というレポートによって見ることができる。

フリーランサーの数は、2017年で約5730万人だ。フリーランサーでない就業者は約1億270万人なので、フリーランサーがアメリカの労働人口約1億6000万人の
約35.8%になる(なお、以下で述べるように、このレポートにおけるフリーランサーの定義はかなり広く、兼業や副業として仕事をしている場合もフリーランサーの範囲内に含めている)。

このように、アメリカの就業形態は、伝統的な形態から大きく変化している。2027年には、フリーランサーが約8650万人で、約50.9%と過半を占めるようになると予測している。このレポートは、フリーランサーとして5つのタイプを区別している。

(1)独立契約者...雇用されず、一時的にまたはプロジェクトベースで自分自身で仕事を行う。

(2)分散労働者...従来の形の雇用やフリーランスの仕事など、さまざまな収入源から所得を得る。例えば、週20時間は歯科医の受付で働き、残りはUberで運転をしたりする。

(3)ムーンライダー...従来の形態で雇用され、その他にフリーランスの仕事をする。例えば、企業に雇われてウェブの仕事をするが、夜には、他の会社のウェブの仕事をする。

(4)フリーランスのビジネスオーナー...フリーランサーとして事業を所有し、何人かの人を雇用する。

(5)臨時雇用労働者...従来と同じように単一の雇用主の下で働くが、そのステータスが臨時的なもの。例えばデータの入力作業を3カ月契約で行う。

 

このレポートにおけるフリーランサーの定義は上記のようにかなり広く、被雇用者とも重複している。ただし、そのうち純粋なフリーランスである(1)の定義だけをとっても約1920万人であるから、被雇用者総数の12%になる。アメリカの就業形態は、伝統的なものとはかなり変化していることが分かる。

2015年においてフリーランサーが稼得した所得は、約1兆ドルに上った。2015年におけるアメリカの賃金所得は約7.9兆ドルなので、その約12.7%になる。雇用者数との比率より値が小さくなるのは、フリーランサーとしての収入が副次的なものに留まっていることを示している。それでも、これはかなり高い比率だ。フリーランサーになった動機としては、「やむをえずと言うよりは、望んでそうなった」とする人の数が63%を占める。

フリーランサーの79%が、フリーランスは従来の就業形態よりもよいとしている。50%のフリーランサーは、いかに所得が高くなっても、フリーランスを捨てて従来の形の仕事には戻らないとしている。日本でもフリーランサーは増えている。

クラウドソーシングのランサーズが発表した『フリーランス実態調査2018年版』によると、フリーランスの経済規模が初めて20兆円を超えた。これは、3年前に比べて4割ほど多く、2017年の雇用者報酬(約274兆円)の7%に相当する。また、副業フリーランスの人口は約744万人、経済規模は約7兆8280億円になった。

 

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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。


 

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『「超」独学法』

野口悠紀雄/角川新書)

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この記事は書籍『「超」独学法』からの抜粋です。

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