料理家・鈴木登紀子さん94歳「食べることは生きること。幸せになりたければおいしいものを食べてください」

「ばぁば」の愛称でおなじみの鈴木登紀子さんは、現在、現役最高齢の料理研究家。94歳になったいまも、NHKの「きょうの料理」などの料理番組で活躍しています。先日、新刊『ばぁばの100年レシピ』も刊行した鈴木さんに、その輝きの秘密を教えてもらいました。

1901p020_01.jpg前の記事「料理家・鈴木登紀子さん94歳「いまは仕事が元気の源。まだまだやりたいことがいっぱいよ!」(1)」はこちら。

 

面倒くさいことは全部やめ。でも、好きなことは手を抜かない

とても元気な登紀子ばぁばですが、実は、子宮筋腫、大腸がん、糖尿病と、大きな病気を患ってきました。

「でも、病気になったからってクヨクヨしても仕方がないでしょ。この前、心臓病で集中治療室に担ぎ込まれたときは、『血管を広げるステントを入れた』と説明されたのに、すぐに忘れちゃったから、ステント、ステント、ステンドグラスと言いながら覚えたり。ナースやドクターに、ひそかにあだ名を付けて楽しんだり。自分で楽しむことを見つけるの。

糖尿病だから本当は甘いものはあまりいただけないけれど、食べたいものは『先は短いんだから』と我慢せずに食べてしまう。もうこの年まで生きてきたら、いつお迎えが来ても覚悟はできています。だから、嫌なことは我慢しない。面倒なことは全部しないことにしたのです」

2009年に最愛のご主人を送り、しばらく一人暮らしをし、90歳から次女の久美子さん一家と同居し始めたばぁば。いまは料理をするのも仕事の時だけと決めているそうです。

1901p020_02.jpg同居している次女の久美子さんが用意してくれる朝食。

「いままでは朝から晩まで自分で料理をしておりましたが、いまは娘が栄養バランスを考えて作ってくれる朝ごはんが楽しみ。仕事がない日は、大好きな海外ドラマを見てゆっくり過ごします。でも、お料理教室がある日は、朝から気持ちがしゃんとします。好きなことは手を抜かないのよ。朝食をすませて、9時にお弟子さんたちと仕込みを始め、11時からお教室がスタート。片付けが終わるのは夕方と、一日忙しいけれど、生徒さんたちがおいしそうに食べている顔を見るのが、何より幸せね。食べることは生きること。元気になりたかったらおいしいものを食べてください。そしたら幸せになる。それは何歳になっても同じですよ」

 
元気と幸せのもと!「登紀子ばぁば」の春の献立を公開

2人のお弟子さんとともに朝9時から料理をスタートし、テキパキと指示をしながら作ってくださった、春の献立をご紹介します。

1901p021_03.jpg●ばぁばの春の献立

「簡単ローストビーフ」
もも肉の塊に塩、こしょうをふり、フライパンにサラダ油、牛肉を入れ強めの中火で転がしながら全体に焼き色を。酒、しょうゆをかけてステンレスのボウルをかぶせ、1~2回転がしながら蒸し焼きに。バットに取り、さめてから切る。1901p021_01.jpg 

「厚揚げのさっと煮」
厚揚げを一口大のさざ波切りにし、酒、砂糖、しょうゆ、みりんを入れて、汁気が飛ぶまで煮る。1901p021_02.jpg 

「たらのお吸い物」
たらは、水から白い泡が出るまで2~3分ゆで、蛇口にふきんを巻き付けて、身崩れしないように流水でさます。椀にすき昆布、たら、長ねぎのせん切りを入れ、だし汁を張り、ゆずを添える。

 

「ほうれん草のおひたし」
ゆでたほうれん草の水気を切り、だし汁、うす口しょうゆを張ったバットに浸して冷蔵庫へ。ゆでてもどした干し菊をさまし、ほうれん草と合わせて盛り付ける。1901p021_05.jpg

 

取材・文/丸山佳子 撮影/工藤雅夫

 

 

鈴木登紀子(すずき・ときこさん

1924(大正13)年青森県生まれ。自宅で主宰した料理教室が評判を呼び、46歳で料理研究家としてデビュー。料理番組「きょうの料理」への出演は40年を超え、ばぁばの愛称で親しまれている。


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94歳で新刊を刊行!

『ばぁばの100年レシピ』

(文化出版局 1,700円+税)

料理上手だったお母さまからばぁばが教わり、大切にしてきた料理の基本から、季節の料理、おせち料理まで、オールカラーでたっぷり紹介された豪華な一冊。ばぁばの細かい作り方解説がすてきです。「本を作るのに1年かかりましたよ。きれいな本よぉ」とばぁば。

この記事は『毎日が発見』2019年1月号に掲載の情報です。

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