恋人の声だけ聞こえるのはなぜ? 人は耳だけでなく「脳」で聴いている/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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恋人の声だけ聞こえる「カクテルパーティー効果」
遠くの声を聞き取れるのはなぜ?

たくさんの人が談笑する立パーティーでも、自分の名前が呼ばれるとなぜかハッキリ聞き取れます。また、その会場の離れた場所から聞こえる自分の恋人の声も、他の声にまぎれていてもしっかり理解できます。このような、人の特異な能力をカクテルパーティー効果といいます。

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まだ完全には解明されていませんが、人は鼓膜の振動だけで音を聞き分けてはいません。音源の位置を空間的に把握して、発信の同時性を確認し、周波数に分解して、脳は音の意味を理解するのです。その証拠に、パーティー会場の単純な会話録音ではカクテルパーティー効果は得られません。

脳の複雑な処理が音の聞き分けに関与している例をもう1つ見てみましょう。マガーク効果です。人が「が」という音節を繰り返し発音する無声映像を見ながら、同じ人がそれと同期して「ば」と発音する録音音声を聞いてみます。すると、「だ」と言っているように聞こえるのです。視覚的に見えた「が」と、聴覚的に聞こえた「ば」がぶつかり合って、脳が「だ」と錯覚(さっかく)したのです。

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以上の効果は聴覚と視覚が互いに結びついていることを示します。脳はさまざまな感覚情報を融合しているのです。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

動植物、天体から物理、統計学まで。知っておくべき科学の基本や、現代科学を読み解くのに必要な知識について、身近な例を挙げながらやさしく解説! わかりやすい図解(イラスト・写真)つきなので、学生から年配層まで、科学全般の知識が浅い読者でもとっつきやすく、「科学の教養」が身につけられる100項目を提供する内容です。

この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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