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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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脳を半分ずつ眠らせる「半球睡眠(はんきゅうすいみん)」
渡り鳥が長期間飛び続けられる謎
北ヨーロッパとサハラ砂漠の間を往復する渡り鳥のヨーロッパアマツバメは、10ヵ月間を一度も着地することなく飛行することが2016年に確かめられました。これほどまでの連続飛行がどうして可能なのでしょうか。
小さな鳥だと大きな検査装置がつけられないため、10ヵ月連続飛行の詳しい研究はこれからのようです。しかし、大きな動物についてはすでに研究が進められています。
そこで明らかになってきたのが、半球睡眠です。脊椎(せきつい)動物の大脳は右脳と左脳の半分ずつに分かれていますが、その左右の脳を交互に眠らせて休ませる睡眠法です。
この睡眠法をとる動物は意外に多く、たとえばイルカがよく知られています。水族館のイルカが片目を閉じたままゆっくりと泳いでいることがありますが、それは半球睡眠で眠っているときに見られる行動だといいます。こうすれば敵に対応でき、溺(おぼ)れる心配もありません。大型の渡り鳥も、この睡眠法を採用していることが知られています。
一方、人のようにぐっすり眠る睡眠を全球睡眠といいます。おもしろいことに、全球睡眠で渡る鳥もいるとの研究もあります。このとき鳥は、飛行機のように「自動飛行モード」で飛んでいるのでしょう。
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