渡り鳥とイルカの共通点。脳を半分ずつ眠らせて24時間フル稼働!/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

渡り鳥とイルカの共通点。脳を半分ずつ眠らせて24時間フル稼働!/身近な科学 pixta_37987279_S.jpg前の記事「東京から大阪まで地声が届く。深海のこだまを利用したクジラの会話術/身近な科学(4)」はこちら。

 

脳を半分ずつ眠らせる「半球睡眠(はんきゅうすいみん)」
渡り鳥が長期間飛び続けられる謎

北ヨーロッパとサハラ砂漠の間を往復する渡り鳥のヨーロッパアマツバメは、10ヵ月間を一度も着地することなく飛行することが2016年に確かめられました。これほどまでの連続飛行がどうして可能なのでしょうか。

渡り鳥とイルカの共通点。脳を半分ずつ眠らせて24時間フル稼働!/身近な科学 p024.jpg小さな鳥だと大きな検査装置がつけられないため、10ヵ月連続飛行の詳しい研究はこれからのようです。しかし、大きな動物についてはすでに研究が進められています。

そこで明らかになってきたのが、半球睡眠です。脊椎(せきつい)動物の大脳は右脳と左脳の半分ずつに分かれていますが、その左右の脳を交互に眠らせて休ませる睡眠法です。

この睡眠法をとる動物は意外に多く、たとえばイルカがよく知られています。水族館のイルカが片目を閉じたままゆっくりと泳いでいることがありますが、それは半球睡眠で眠っているときに見られる行動だといいます。こうすれば敵に対応でき、溺(おぼ)れる心配もありません。大型の渡り鳥も、この睡眠法を採用していることが知られています。

 

渡り鳥とイルカの共通点。脳を半分ずつ眠らせて24時間フル稼働!/身近な科学 p025.jpg一方、人のようにぐっすり眠る睡眠を全球睡眠といいます。おもしろいことに、全球睡眠で渡る鳥もいるとの研究もあります。このとき鳥は、飛行機のように「自動飛行モード」で飛んでいるのでしょう。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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