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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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現代に残された〝大いなる謎〟
生命に〝選別〟されるアミノ酸の話
生命を形づくるタンパク質の素となるアミノ酸の骨格をつくるのは炭素です。その炭素は対称に4本の腕を出し、他の原子と結合します。すると、同じ成分、同じ構造を持ちながら、鏡に関して対称な2種のアミノ酸ができることになります。
人工的には、2種のアミノ酸が均等に生成(せいせい)されます。ところが不思議なことに、すべての生命はこれらの一方だけしかつくり出しません。なぜ片方だけ選別されるのか。これは現代に残された大きな謎です。
隕石(いんせき)の中にアミノ酸が含まれることがあります。そこには2種が均等に含まれます。地球の最初の生命はその一方だけを選別し、今の生物に継承していったと考える専門家もいます。
2種のアミノ酸のうち、生命が選択しなかった物質は、生命に拒絶されたり、さらには有毒にさえなったりします。そこで、化学者・野依良治(のよりりょうじ)氏は一方だけをつくる技術を開発し、その功績によって2001年、ノーベル賞を受賞しました。
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