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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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誕生時のDNAが同じでも異なる特徴を持つ
一卵性双生児(いちらんせいそうせいじ)でも指紋は違う!?
一卵性双生児とは、1個の受精卵が母体の中で2つに分かれ、双子(ふたご)として生まれた子どもです。もとは1つの細胞なので、この双子の体の設計図DNAは基本的に同じはずですが、指紋はなんと、異なるのです。
完全には解明されていませんが、生物は環境によって形を変化させることが知られています。また、1987年にノーベル賞を受賞した利根川進(とねがわ・すすむ)氏の研究で、「体の中には遺伝情報を変化させる細胞がある」こともわかりました。免疫(めんえき)をつかさどるタンパク質[抗体(こうたい)]をつくるリンパ球の1つ、B細胞です。
こうした柔軟なしくみによって、多様な種類の抗体を生み出し、さまざまなウイルスや細菌に対抗しているのです。
ちなみに、一卵性双生児の違いは指紋だけにとどまりません。顔や声など、いくつもの違いがあります。また、牛の場合、人の指紋に対応するのは鼻の紋様(もんよう)である鼻紋(びもん)ですが、1つの受精卵から育てられた多数のクローン牛でも鼻紋は異なります。この性質は、牛の識別に利用されています。