新緑の森が美しいのは、植物が「緑色」を嫌っているから/身近な科学

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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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クロロフィルが緑を取り入れれば森は「灰色」に!?
植物は「緑色」を嫌っている

植物の葉はなぜ緑色なのでしょうか。それは、葉が緑色を排除しているからです。こう説明すると逆説的に聞こえますが、実は、葉は緑の光を吸収せずに「反射」しています。

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多くの植物は、生きるために光合成(こうごうせい)をしています。水と二酸化炭素と太陽光から、炭水化物と酸素をつくる営みです。その光合成の中心的役割を果たしているのが、葉の中に含まれるクロロフィル[葉緑素(ようりょくそ)]です。

クロロフィルは青の光と赤の光をよく吸収し、緑をあまり吸収しません。結果として、太陽から降り注ぐ可視光(かしこう)[赤、緑、青の光]のうち、緑が吸収されずに反射され、葉は緑に見えるのです。

効率だけを考えれば、緑の光を利用することは植物にとって合理的に思えますが、緑を排除している理由についてはよくわかっていません。進化の結果とか、地上の太陽光で最も強い波長域(はちょういき)を意図的に除外したとか、はたまたそのほうが光合成の変換効率を上昇させる、などの学説が飛び交っています。

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もし葉が緑を吸収したら、どうなるでしょう。植物に覆われた山や街路樹は灰色になってしまい、今の自然の美しさはなくなります。植物が緑を吸収しないことは、私たち人間にとってはよかったのかもしれません。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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