うなぎ屋で松竹梅のどれ選ぶ? 非合理性に満ちた「人の性(さが)」/身近な科学

さまざまな生物のすぐれた能力。私たちの暮らす地球の驚くべき事実。メディアをにぎわせる「最新科学」のニュース。驚くべき速さで進歩するITの話題。世の中には、学校では教わらなかった現代科学の話題があふれています。

職場で、学校で、家庭で。明日の雑談のネタにピッタリな、知っておくと自慢できる「科学の雑学」をお届け!

※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。

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人の性(さが)を経済理論に取り込んだ「ナッジ理論」
人は合非理性(ひごうりせい)に満ちた動物

人は「理性的な動物」といわれます。しかし実際は、非合理な行動がいっぱいです。ここに着目したのが、米国の経済学者リチャード・セイラー。人の性を経済理論に取り込んだナッジ理論と呼ばれる理論をつくり、2017年にノーベル賞を受賞しました。

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たとえば、薄給のサラリーマンが昼にうなぎ屋へ行ったとします。メニューは松4000円、竹2000円、梅1500円。薄給ならば安い梅を選ぶべきでしょうが、多くは「いちばん安いのはまずいかも」と疑い、竹を選びます。極端回避性と呼ばれる心理です。

また、最初に4000円の松が目に入っていたため、相的に「竹」が安く感じられる効果もあります。これをアンカリング効果といいます。アンカーとは錨(いかり)を意味します。

商品の宣伝に、「売り切れ続出」、「タレント愛用」などの身近な文句が用いられるのは、親しみやすさに共感する利用可能性ヒューリスティックと呼ばれる人の心理が利用されているからです。

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非合理と思えても、それは不合理というわけではありません。合理的な行動にバイアス[偏り]がかかっているのです。このバイアスを体系化しマーケティングへ生かすのが行動経済学と呼ばれる新しい経済学です。

 

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涌井貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。著書は、『図解 身近な科学 信じられない本当の話』『雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科』(以上KADOKAWA)、『Excelでわかるディープラーニング超入門』『ディープラーニングがわかる数学入門』(以上、技術評論社)、『「物理・化学」の法則・原理・公式がまとめてわかる事典』(ベレ出版)、『図解・ベイズ統計「超」入門』(SBクリエイティブ)など多数。

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『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』

(涌井貞美/KADOKAWA)

動植物、天体から物理、統計学まで。知っておくべき科学の基本や、現代科学を読み解くのに必要な知識について、身近な例を挙げながらやさしく解説! わかりやすい図解(イラスト・写真)つきなので、学生から年配層まで、科学全般の知識が浅い読者でもとっつきやすく、「科学の教養」が身につけられる100項目を提供する内容です。

 

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この記事は書籍『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』からの抜粋です。

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