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※この記事は『[図解]身近な科学 信じられない本当の話』(涌井貞美/KADOKAWA)からの抜粋です。
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「超好熱(こうねつ)菌」は生命の起源につながる!?
熱湯でも生きられる細菌がいる
2003年、深海底で100度以上の熱水が噴き出る穴の付近でも生きられる細菌が発見されました。このような細菌を超好熱菌と呼びます。
この超好熱菌が注目されている1つ目の理由は、その応用にあります。熱湯でも生きるためには、細胞内のタンパク質が高温に耐えられる必要があります。鶏卵(けいらん)をゆでると固形化しますが、超好熱菌にはそのような変性が起こらないはずです。
さまざまな有機化合物(ゆうきかごうぶつ)の生成や分解にはタンパク質からつくられる酵素(こうそ)が必要です。そこで、超好熱菌のタンパク質を利用して高温で機能する酵素を開発できれば、新しい有機化合物の開発が可能になると期待されます。
2つ目の理由は、この菌が進化の系統において根元に位置すること。生命は大きく真正(しんせい)細菌、古(こ)細菌、真核(しんかく)生物の3つのドメインに分けられますが、古細菌に分類されるこの菌は、3つのドメインの共通の祖先の特徴も兼ね備えています。超好熱菌を理解すれば生命の起源がわかるかもしれません。
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