先日、筆者が好きなドラマをテレビで見ていたら「音が大きいよ!」と娘に注意されてしまいました。え? これって昔、自分が両親に言ったことでは!?と愕然。そういえば、駅やお店など周囲が騒がしい所でのスマホ通話も、相手の声が聞こえにくかったり。
目や歯が年々衰えていくように、耳も少しずつ老化が始まっているのかもしれません。自然の摂理とはいえちょっとショック...というときに知ったのが「集音器」という存在。
中でも「femimi(フェミミ)」は、シンプル操作で使いやすく、イヤホンで音楽を聴く感覚で利用できる!と圧倒的な支持を得ているとか。これがあれば便利かも...!
人気の秘密は? なぜ開発されたの? どんな特長があるの? 気になる商品開発秘話を、オトモア株式会社の代表取締役社長 百足敏治さんと技術部の小谷英之さんに伺いました。
50代で耳が聞こえにくくなった女性のために商品を開発
――最初に、オトモアという会社を創立された経緯を教えてください。
(百足さん)オトモアは、大手音響メーカー・パイオニアで企画・デザイン・技術・開発・営業で活躍していたメンバーが集まってできた会社です。
設立は2021年9月。2年と半年が過ぎ、人間でいうとおしゃべりの言葉の数が少しずつ増えて、これからヤンチャになっていくぞ、というようなステージです。
いわゆる「音の専門家」というと、技術とか開発だけのことが多いんですが、オトモアはデザイン担当も企画担当もみんなそれぞれの分野でのスペシャリストという点が特長です。パイオニア時代に30年以上キャリアを積んで得た知識や技術を各自持ち寄って、総力をあげて立ち上げたメイドインジャパンの会社となります。
――どうしてこのような事業をやろうと思われたのでしょうか。
(百足さん)パイオニア時代からの「femimi」という集音器をはじめとする聞こえサポート商品のDNAを引き継いだ、という形です。
それは「femimi」が生まれた背景に大きく関係がありまして。もう26年前ですが、東北パイオニア社長で、奥様の耳が聞こえにくくなった方がいらっしゃったんです。当時まだ50代くらいでしょうか。それを解決するために立ち上がろう!という形で生まれたのが「femimi」でした。
femimiに携わったスペシャリストたちが、商品のフィロソフィー(哲学)と品質を継承していこう、お客様の音に関する悩みをなんとか解決していこうという思いから、この事業を立ち上げたというわけです。
長い人生をより豊かに。大切な人ともっと話してもらいたい
――まだ50代で耳が聞こえにくくなるというのは、生活の不具合も大きいですね。
(百足さん)やっぱり年を重ねていくとどうしてもあっちが痛い、こっちが痛い、立ち上がりにくい、噛めない...とかあるじゃないですか。どうしても自然の摂理として。同時にやっぱり耳もちょっと聞こえづらくなる。
一方で「人生100年時代」と言われています。聞こえと向き合う時間、音と向き合う時間がどんどん長くなってきている。長い人生の中で豊かな生活をしていただきたい、大切な人ともっともっと話してもらいたい、いろんな音を聞いてもらいたいという思いが我々にはあります。
そこで、オトモアはこれまで培った技術とか知識、経験、アイデアといったところをフル活用して、必要な方に対してこれからの人生によりよい豊かな空間、時間を提供できれば非常にハッピーだな、と。それぞれの方の人生に対して「聞こえサポート」のグリップをしっかりと握り、商品を通して支えていきたいと思っています。
――なるほど。もともとの「音のスペシャリスト」「プロフェッショナル」な方々が「聞こえをサポートする」という明確な目標があって集結された、と。
(百足さん)そうですね。それが一番の強みです。
(小谷さん)今「プロフェッショナル」とおっしゃいましたが、パイオニア時代にオーディオのCDやカセットといった入り口から、出口であるスピーカーとかアンプとかを手掛けていたメンバー、さらにテレビを手掛けていたメンバーまでがオトモアには揃っていて、絵と音の技術者が一通り揃っているのがユニークなところです。そしてそのような技術を融合させて新しい商品を作っていく、という点が他社では真似できないところだと思います。